健康で安心して暮らせる豊かな環境づくり目指して
交通安全活動 |
◆事故の未然防止と事故後の支援を中心に
JA共済がおこなう社会貢献活動は、交通安全や交通事故対策にスポットをあてたものが多い。それは自動車共済や自賠責共済を提供していることから、交通事故被害者の自立や社会復帰の応援に力を入れているからだ。
その内容は主に“事故の未然防止”と“事故後の支援”の2つに大きく分けられる。前者の活動としては、幼児向けの「交通安全ミュージカル」の上演、高齢者向けに行われている交通安全落語やレインボー体操を取り入れた「交通安全教室」や「安全運転診断」といった取り組みだ。
後者の活動としては、介助犬の育成・普及支援活動やリハビリテーション施設の運営、募金活動などがあげられる。
また、事業活動の理念を伝え地域社会との絆を深めるため、小・中学生を対象とした「書道・交通安全ポスターコンクール」を実施するなど文化支援活動も行っている。
交通安全ミュージカル |
◆歌と踊りで楽しく学ぶ交通ルール
ミュージカルキャラクターと
楽しくルールを学ぶ園児たち |
今年で6年目を迎えるのが「親と子の交通安全ミュージカル 魔法園児マモルワタル」だ。
昨年度までに参加した幼稚園・保育園の数は2196園で、人数は園児・保護者を含め10万4926人にのぼる。毎年好評で、年々上演回数、動員数ともに増えている。
今年も4月9日、東京の新宿文化センター大ホールが初演となり、全国50か所での巡回公演が始まった。この日は都内の幼稚園・保育園から約400名が参加し、会場は公演を楽しみに待ち構える元気な子どもたちでにぎわった。
警視庁交通局によると、昨年の歩行中の交通事故は、子ども側に違反のあるケースが他の年齢層に比べて高く、「飛び出し」違反がそのうちの過半数を占めているという。子どもへの交通安全教育がますます重要視されているなか、交通ルールを正しく覚え、事故から自分の身を守れるようになってほしいとの願いでこのミュージカルははじめられた。
ストーリーは、魔法幼稚園児の“マモルワタル”が主人公。魔法の国でいつも危ないホウキ走行をしているため、人間の国に修行に出されてしまう。そこで出会ったスナオ君や警察官のお姉さんたちに助けられながら、正しい交通ルールを身につけていくというもの。幼児にわかりやすくて楽しめるように工夫を凝らしたミュージカルとなっているのが特徴だ。
幼児教育は繰り返しによる頭へのインプットが効果的だという。そのため、横断歩道の正しい渡り方を歌に乗せ、渡る際のテーマソングとしてミュージカルの中で繰り返し使われている。この日園児たちに配られた「おみやげ」の中には、テーマソングのCDも入っており、家でも練習できるようにとの工夫がされている。
また、警察官のお姉さん役が「車は急に止まれない」と忘れないで帰ってほしい言葉をミュージカルの中で何度も繰り返し、子どもたちの頭の中にインプットさせている。
「参加型」ミュージカルなのも工夫のひとつ。各園から選ばれた園児たちは、名前を呼ばれると嬉しそうに舞台に上がり、出演者と横断歩道の正しい渡り方を実際に体験する。また交通安全に関するクイズに大きな声で答える場面もあり、楽しみながら交通ルールを学ぶことができる。
休憩中や上演後は、早速学んだ歌を口ずさむ園児たちの姿も見られ、ミュージカル学習の良い影響がすぐに表れた様子だった。
安全運転診断 |
◆高齢者の運転事故を防ぐために
酩酊状態を疑似体験できる特殊ゴーグルを装着したシミュレーションで、飲酒運転の危険性も訴えている
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昨年度から新たな活動として、高齢者向けに始められたのが「安全運転診断」だ。ドライビングシミュレーターを搭載した車両「きずな号」を全国8地区に配置し、地区内を巡回し運転診断を実施している。
高齢運転者による事故は10年前に比べると約1.5倍に増加している。その原因の多くは免許取得から何十年も運転してきた経験からの「過信」や「身体機能の低下」そして「うっかりミス」によるものだ。また、農村部では公共の交通機関が少ないことから車での移動が多く、事故が増加傾向にある。
こうしたことから、高齢者に向けた交通安全指導を強化しようとこの「安全運転診断」がはじめられた。
診断は、事故が起きやすい運転状況を3面のモニターやスピーカーで再現するシミュレーターを使って行われ、結果をもとに交通安全のアドバイスが受けられるというもの。
1人当たり10〜15分程度と短時間で診断できる。安全な暮らしの実現のために、もう一度自身の運転を見直すことの大切さを伝えたいとしている。
介助犬の育成・普及支援 |
◆交通事故被害者の社会復帰を応援
介助犬デモンストレーションのようす
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交通事故被害者の自立と社会復帰を支援するために「介助犬の育成・普及支援活動」に取り組んでいる。
介助犬を多くの人に知ってもらおうとデモンストレーションや、介助犬のオリジナル絵本を作って読み聞かせを行っており、昨年度は全国で36回ほどイベントが実施された。
介助犬は身体の不自由な人の手足となり、日常生活の動作の補助手助けをするために特別なトレーニングを積んだ犬のこと。
正式認定を受けた介助犬は全国にわずか46頭(平成21年5月現在)なのに対し、実際に介助犬を希望している人は約1万5000人いるといわれている。
昨年度1年間で50頭が誕生している盲導犬に比べると介助犬の普及の遅れは顕著であり、育成が強く求められている。JA共済では、各種イベントの他にもテレビCMを制作・放映し、人びとへの認知を広める一助としている。
昨年の7月からは、実際に活躍している介助犬「ヴァニラ」とユーザーである木村まどかさんが出演するCMが、放映されている。介助犬が日常の介助動作で木村さんの生活を支えているだけではなく、木村さんの心の支えにもなっている姿から、人と介助犬の心の絆が伝わる内容になっている。
これらの活動を通して介助犬がもっと活躍できる社会を目指している。
書道・交通安全ポスターコンクール |
◆大人顔負けの秀作が毎年集まる
JA共済事業の理念である「相互扶助・思いやりの精神」を小・中学生に伝えるとともに、書写・美術教育の発展を目的として「書道」「交通安全ポスター」コンクールを実施。毎年書道ではおよそ130万点、ポスターではおよそ16万点の作品が寄せられている。
大人顔負けの書道作品や秀作ぞろいのポスターが集まり、その年を象徴した標語や絵柄が多く表れるのがポスター作品の特徴だという。今ではコンクールの中でも日本最大規模に成長し、小・中学生に交通安全の意識を高めてもらうだけでなく、見る大人にとっても交通安全意識を植え付ける説得力がある。
昨年は、交通安全ポスターと書道コンクールで大賞に輝いた作品が、東京駅構内の1階コンコース改札内Break(ブレイク)に展示された。ブレイクは新幹線利用客や通勤客など1日40万人以上が利用することもあって多くの人の注目を集めたという。また高速道路のサービスエリアなど各所でも展示を行い、できるだけ多くの人に作品にふれてもらうための活動を展開している。
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JA共済ではここで紹介したほかにも、レインボー体操や健康・介護ほっとラインなどの「健康管理・増進活動」、仮設住宅貸与制度や災害シートサービスなど「災害救援活動」、CO2削減へ取り組む「環境保全活動」をはじめ「高齢者・身障者福祉活動」「保養施設の運営」など、健康で安心して暮らせる豊かな環境づくりに貢献する社会貢献活動に積極的に取り組んでおり、それがJA共済の信頼へとつながってきているといえる。