これまでの農政に不信や不満もあったから民主党に政権が代わったら農政も変わるだろうと、そんな期待も持っていた。
しかし、新聞報道を見ていると実は農業をカヤの外に置いた政権運営ではないかと思えてきた。農業というものどう思っているのかと感じている。
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40年前に入植したとき4haが個人の経営面積として配分され、これだけあれば専業農家として生活できるということだった。
それでもこの地域では当時から自分の作ったものを消費者に評価してもらい自信を持って安全・安心なものを供給しようと考えから、生協との産直運動に取り組んできた。当時はJAもそうした提携はなく先駆的な取り組みで異端児のような見方もされたが、現在はJAも事業として展開するようになり私たちの取り組みを引き継ぐことになった。
いくら生産に努力しても、やはりそれを理解してもらえる消費者とのつながりを大事にしていかなくてはいけないと考えてきた。
そもそもは琵琶湖に遊びにくる消費者への野菜の直売から始まったが、それは消費者の反応がいちばんの励みなったからである。
しかし、今度の事業仕分けの議論を見ても自給率を上げてどうなるのかと指摘した委員がいたりで、正直言って何を考えているのかという思いに駆られ、戸別所得補償制度について具体的な注文も浮かばない。ただ、地域にはそれぞれの事情、条件があることをどれだけ踏まえるかが大事だと思う。
大中でも農業者は二極化し、2世、3世が育って意欲的に経営している人と離農、あるいはいつ離農しようかと考える人に分かれてしまった。少なくとも若い人が希望を持ちやる気を起こすような政策であってほしい。
そのためには国民の目をもう少し農業というものに向けることこそが今求められているはずだ。
食料生産、農業は国民的な課題だという捉え方が必要で、消費者に理解され支持されるよう国民運動として取り組まない限り期待を持てない。政権交代をしたが今の政策議論にはその基本が欠けていると思っている。
(写真はイメージ)