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農業倉庫火災盗難予防月間スタート(22年11月15日〜23年1月31日)

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【農業倉庫火災盗難予防月間】日常の点検が災害防止の出発点―よりいっそうの保管管理体制の強化を

・低温倉庫とCEを併設し管理をしやすく
・虫害や防鼠対策をしっかりと
・はい付け見取り図でスペースを有効活用
・「保管管理対策協議会」を中心に保管管理の強化を
・巡回指導で自JAの業務見直しも

 今年も「農業倉庫火災盗難予防月間」(11月15日から来年1月31日)が始まった。農業倉庫はカントリーエレベーター(CE)とともに、米麦の販売・流通の重要な拠点施設だ。近年は、米についても安心・安全は当たり前と考えられ、農業倉庫における「保管履歴」の開示は当然とされ、細心の品質管理がなされなければ、産地として選ばれない時代になっている。そうしたときに、火災盗難の予防だけではなく、自主保管管理体制を再点検し、よりいっそうの充実強化をはかるこの運動の意義は、年々高まっている。そこで今回は、関東でも有数な米産地である茨城県のJA常総ひかりの石下低温倉庫に取材するとともに、50年以上の長きにわたり、県内の農業倉庫の管理業務を指導してきている「茨城県農業倉庫保管管理対策協議会」についても取材した。

現地ルポ
JA常総ひかり・JA全農いばらき(茨城県)

JAのトップから担当者までが
一体となって

防災は日々の習慣 心得よ月間ポスター(クリックすると、大きいサイズで表示されます)
関係者のよく目につくところに貼っておきましょう


JA常総ひかり

◆低温倉庫とCEを併設し管理をしやすく

左から石塚さん、福島さん、倉持さん 関東平野のほぼ中央、茨城県の南西部の東西約16km、南北約30kmと南北に長い地域にある常総市(旧水海道市と石下町が合併・下妻市(旧下妻市と旧千代川村が合併)・八千代町の2市1町が、JA常総ひかりの管内だ。
 管内の中央に鬼怒川、東に小貝川、西に飯沼川が水量豊かに流れ、その流域には水田が広がり、良質な茨城米の生産地となっている。また、西部地域は畑作地帯として露地栽培を中心とした園芸作物の大産地となっている。とくに、八千代町の梨や春白菜、旧千代川・旧石下地区のキュウリやスイカ、下妻市の梨は銘柄産地あるいは銘柄推進産地に指定され、市場でも高い評価を受けている。
 米はコシヒカリが8割強を占め、晩生のゆめひたち、早生のあきたこまちなどを生産しているが、最近の米価低迷もあって、JAの販売事業取扱高に占める割合は、野菜・果樹が約7割で、米麦は約3割となっている。
 もともと茨城県でも有数の米産地ということもあって、管内には低温倉庫が8、常温倉庫が11倉所(農倉基金登録数)あるが、常温倉庫で実際に使っているのは4カ所だと、JAの営農部米穀課の倉持光課長補佐。そしてカントリーエレベーター(CE)が4基のほかライスセンター(RC)があるが、このCEとRCが農業倉庫と同じ敷地に併設されているのが、JA常総ひかりの大きな特徴だといえる。同一敷地に設置されているので、施設も含めた管理がやりやすいと石下地区センター米穀課の福島二三男課長はいう。

(写真)左から石塚さん、福島さん、倉持さん


◆虫害や防鼠対策をしっかりと


はい付見取り図通りにはい付された庫内 石下低温倉庫は4年前に建設された比較的新しい倉庫だが、ここも含めて農業倉庫やCEについては夜間は警備保障会社と契約して盗難事故などに備えるとともに、火災報知器や消火器などをきちんと設備し、事故時の連絡体制についても、倉庫入口に表示するなどの態勢を整えている。
 火災や盗難事故以外で、倉庫管理でいま一番気をつけているのは品質管理と「虫害」や「鼠害」に対する防除だと、石下低温倉庫を担当する石塚悦央さん。防鼠対策については、入口に鼠返しを設置するなどの措置と同時に年2回専門業者に防除してもらっている。虫害については、パナプレートが使えなくなった後、どうするか専門業者とも相談して検討しているところだ。
 そして品質を維持するための穀温管理や倉庫内の温度管理に気を使うという。低温倉庫の場合、設定すれば機械が自動的に調整するが、夏場の暑いときの温度管理では「機械に頼り過ぎないようにしている」という。

(写真)はい付見取り図通りにはい付された庫内


◆はい付け見取り図でスペースを有効活用


万が一に備え消化設備もきちんと設備されている もう一つ、倉庫の管理で気を使うのがはい付けだ。なぜなら、同じコシヒカリでもJA米と一般米があり、それぞれに1等から3等の等級がある。さらに水分の多いもの、過乾燥米などを区分して混じらないようにはい付けして、管理しなければならないからだ。
 同じ銘柄でもいくつもの区分があり大変なのに、これが複数銘柄となるとさすがに大きな倉庫でも、デッドスペースが生まれ、その収容能力を有効に活用することが難しくなる。石下低温倉庫の収容能力は5万袋(30kg)だが、実際にはその6割程度しか使えない場合もあるという。
 間違いのない入出庫作業をするために、事務所だけではなく倉庫入口と庫内の数箇所に「はい付け見取り図」が掲示されていた。作業をするときには、この見取り図で確認してから仕事に入ることにしているという。
 出来秋に備えて予めはい付けの計画をしておくのだが「水分とか計画通りいかないことも多く、苦労する」と石塚さんはいうが、その眼は穏やかで、倉庫担当者としての自信と誇りを感じた。

(写真)万が一に備え消化設備もきちんと設備されている

 



全農茨城県本部


◆「保管管理対策協議会」を中心に保管管理の強化を

計量機が置かれた下屋 茨城県では、全JAと全農茨城県本部が加盟する「茨城県農業倉庫保管管理対策協議会」が昭和32年4月に設立され、今日まで「農業倉庫における保管管理技術の向上と保管態勢の強化を図る」ために活動を継続している。
 ここ数年実施している主な事業としては次のようなものがあると、県下の農業倉庫を指導する全農茨城県本部米穀部の小圷(こあくつ)光久技術顧問。それは、(1)農業倉庫の各種表示板や防虫剤・防鼠剤の購入助成、(2)防犯ベル保守点検・電気工作物点検への助成、(3)はい作業主任者講習会(トラック協)受講助成、(4)農業倉庫盗難保険の契約・更新、(5)年2回の協議会委員による農業倉庫巡回指導、(6)独自の研修会などだ。
左から加倉井さん、塩畑さん小圷さん  例えば(3)のはい作業主任者講習には21年度は41名が受講し、それに対して助成がなされている。また、(4)の盗難保険については、登録されている296倉庫について一括して協議会が契約更新していると、協議会の事務局を担当する県本部米穀部米穀総合課の塩畑考士さん。
 協議会を設置している県は全国にもあるが、茨城県のように、JAや県本部の農業倉庫が受領する「保管料から定率」を積立て、50年以上も継続して、こうした事業の経費にあてているところはないのではないだろうか。

(写真)
上:計量機が置かれた下屋
下:左から加倉井さん、塩畑さん小圷さん 


◆巡回指導で自JAの業務見直しも


CEと併設されているJA常総ひかり石下低温倉庫 1月と7月の年2回実施される巡回指導には、協議会委員であるJA常勤役員が3〜4班に分かれ、他JAの農業倉庫を担当する。
 巡回に際しては(今年7月実施)、「管理・防災体制の確立(7項目)」「保管技術の防虫・防鼠・品質対策(6項目)」「同はい付け(4項目)」「施設の整備の火災防止対策(10項目)」「同盗難防止対策(4項目)」「管理事務・清掃(7項目)」の計38項目について、A・B・Cの3段階で評価(評価基準も点検表に明記されている)されるようになっている。
toku1011290206.jpg この点検結果は、各JAのトップに報告され改善計画などに活かされることになる。しかしそれだけではなく、同じ県内のJAのトップ同士なので、日々の業務の場所である農業倉庫業務のあり方の話にもなったりすることで、他のJAの倉庫業務だけではなく、自JAの業務を見直す機会にもなっていると、加倉井直樹県本部米穀総合課長はいう。
 今回の取材では、JAのトップから農業倉庫の担当者、そして全農県本部が一体となって、日本人の主食である米を保管管理する農業倉庫業務に、長年にわたって取り組み、JAグループ全体で日々の業務である保管管理のあるべき姿を見出してきていることに感銘を受けた。

(写真上)CEと併設されているJA常総ひかり石下低温倉庫

 

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万全な火災盗難予防を
JA全農米穀部

 財団法人農業倉庫受寄物損害補償基金(農倉基金)に登録されている全国の農業倉庫は、約6800棟で収容力約610万トン(平成22年9月現在)を有しています。農業倉庫は集荷・販売の拠点、そして、国内産食糧の保管・供給という生産者と実需者を結びつける大きな役割を担い、まさにJAグループ米穀事業の物流中核拠点と言えます。
 政府米の保管をめぐる環境としては、平成15年に国の保管管理要領が廃止されて7年が経過し、昨年度からは国との寄託契約は直接契約となり、契約内容に湿度管理の基準が追加されました。また、政府米保管倉庫は指定制から公募制となり、今まで以上に農業倉庫業者であるJAの役割や責任が大きくなっています。
 また、近年、実需者や消費者の食の安全・安心に係る関心は一層強くなり、信頼確保のため保管米麦の品質管理の徹底が求められています。
 本会では、農倉基金とともに全国4会場で「農業倉庫保管管理技術研修会」を開催(11〜12月)し、保管管理担当者の技術向上を図るとともに、火災や盗難が多発する冬季に防災・防犯管理の強化・徹底を目的として「農業倉庫火災盗難予防月間」(11月15日〜翌年1月31日)を設定し、全国一斉運動を展開しています。
 近年、JAの合理化の一環として倉庫担当者の兼務業務の増加等により、現場の体制が手薄になる可能性があります。
 この時期は、検査・入庫が進み、倉庫の保管数量は年間で最も多く、また、火災の発生しやすい時期であり、万が一、火災事故が発生すると甚大な被害となる可能性があります。
 また、近年、倉庫において保管している農作物の盗難事故が多発しており、米穀についても流通の多様化により換金が容易となっていることから、盗難の対象として普段は無人の農業倉庫が狙われる恐れがあります。
 農業倉庫関係者の皆様におかれましては、研修会・会議および巡回指導等を通じて防災意識の高揚を図っていただくとともに、改めて緊急時の連絡体制の確認と施設・設備の点検整備を行っていただき、あらゆる事故の発生防止に向けて保管管理に万全を期していただきますようお願いします。

 

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農業倉庫火災盗難予防月間にあたって
(財)農業倉庫受寄物損害補償基金
理事長 久寝 正則

 日頃から米麦の適正な保管管理について、ご努力をいただいていることに感謝申し上げます。
 農業倉庫における火災盗難事故は皆様の努力のおかげで最近は少なくなっていますが、一方でカントリーエレベーターやライスセンターでの火災が多くなっています。カントリーエレベーターもライスセンターも乾燥作業には火を使っていますので、必然的に火災発生のリスクはありますが、担当者が機械の自動運転任せにしていたために気付くのが遅れたというケースも見られます。担当者の心掛け次第で火災事故を減らすことも可能なのではないかと思われます。また、本年はカントリーエレベーターの地下タンクから灯油が盗まれる事件も何度か発生していますので、灯油の管理にも十分留意する必要があります。
 さて、今年も火災および盗難事故を未然に防ぐとともに品質管理に万全を期すために、全農と連携して「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、防災防犯の徹底と併せ適切な保管管理を図る運動を展開してまいります。特に本年産米は夏の猛暑のために粒の充実不足や未熟粒等が発生しており、保管中の品質劣化の恐れがあるとともに、庫内で害虫・ネズミが例年以上に繁殖しているのではないかということも懸念されます。
 農業倉庫における火災事故の発生は少なくなっているとはいえ、倉庫の軒下に仮置きしていたパレットや倉庫下屋からの出火など、放火と見られる火災も発生しています。倉庫周辺には燃えやすいものを放置しないこと、また不在時は倉庫や事務所敷地出入口は必ず施錠することなどの対策が必要です。また、ライスセンターやカントリーエレベーターでの火災事故を防ぐためには、特にバーナーなど機械設備の日ごろからの点検・整備が不可欠です。 
 このような農業倉庫等の火災盗難事故を未然に防止し、保管管理に万全を期すために、この月間において、JA役職員の行動基準など防災体制を確立したうえで、農業倉庫等における火災および盗難事故防止に重点をおいた取組みが必要です。さらには毎日の倉庫見回りを徹底し、保管米の品質管理に万全の注意を払うとともに、害虫・ネズミ被害にも注意する必要があります。
 このような取り組みは、皆さんが日常的に実施されていることとは思いますが、改めて予防月間において実施すべき事項を確認し、保管管理に万全を期していただきたいと思います。

 


平成22年度 農業倉庫火災盗難予防
月間の取り組みについて

―月間のすすめ方―


趣旨

 冬期にかけては農業倉庫の火災・盗難の多発期を迎える。最近、火災事故の発生は少なくなってはいるものの、倉庫周辺に仮置きした木製パレットやその他の可燃物に火をつけられるなど、不審火によるものが時々見られ、また、新米の入庫以降、農業倉庫の南京錠や通用口、シャッターの鍵などを壊しての盗難事故も依然として発生している状況にある。特に最近では、CEやRCにおいて灯油抜き取り等も発生している。
 ついては、防災・防犯管理の強化・徹底を目的として「農業倉庫火災盗難予防月間」を設け、関係機関の協力を得てJAグループが一体となって全国一斉に運動を展開する。
 農業倉庫業者は、日々適切な保管管理を励行する必要があるが、特にこの月間においては防災意識の高揚を図るとともに、農業倉庫における火災および盗難事故防止に重点を置いた倉庫見回り、施設・設備の整備・点検等を行ない、保管管理に万全を期するものとする。

期間
 平成22年11月15日から平成23年1月31日までとする。

実行項目
 農業倉庫業者は「自主保管マニュアル」、および「消防法令」、ならびに別添「農業倉庫火災盗難事故防止対策」に定める火災盗難予防に関する事項の確認・点検を行ない、必要な対策の実施に努める。

 

火災盗難予防運動の推進方法


(1) JA全農・農業倉庫基金

ア.JA全農および農倉基金は、JAおよび県本部・県農協・県連(以下、県本部等)の農業倉庫担当者を対象に研修会を開催し、趣旨の徹底と意識の高揚をはかる。
イ.「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを全国の農業倉庫に配布するほか、新聞等を活用して趣旨の周知徹底をはかる。
(2)県本部等
ア.JAの農業倉庫及び米穀担当者を対象にした会議等においては、火災盗難予防について趣旨徹底を図り、防火・防犯意識の高揚をはかる。
イ.巡回指導班を組織して農業倉庫の巡回を行ない、火災盗難予防設備および消火設備の点検・整備の指導に努める。
ウ.「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、関係者の意識の高揚をはかる。
エ.県本部等の機関紙・地方新聞等を活用して火災盗難予防運動の趣旨の徹底に努める。
(3)JA
ア.農業倉庫における米麦の保管の重要性を認識し、役職員の意識・責任感の高揚をはかる。併せて、本庫のみならず、支庫の見回りを行い防火・防犯の徹底をはかる。
イ.農業倉庫等の火災盗難予防設備および消防用設備等の一斉点検を行なうよう努める。
ウ.事務所、農業倉庫、共乾施設等に「農業倉庫火災盗難予防月間」ポスターを掲示し、関係者への注意の喚起をはかる。
エ.消防・警察関係の協力を得て、防火・防犯についての指導を受けるとともに、消防訓練等を実施する。
オ.有線放送・ケーブルTV等を利用し、あるいはチラシを配布して、組合員および付近住民へ火災盗難発生時における緊急連絡の協力を要請する。

 


農業倉庫火災盗難事故防止対策

 農業倉庫における火災盗難事故を未然に防止し、保管管理の万全を期すため、次の事項を実施する。


防災体制の確立
1.防災体制を確立し、災害時における役職員の行動規準を定める。
(1)事故発生時の対応の敏速化、非常時連絡先表を掲げるなどの連絡体制を整備。
 消火器取扱方法まど初期消火訓練に努める。
(2)総括責任者、上級責任者、現場保管管理責任者および火元取締責任者を定め、各倉庫戸前にその氏名を掲示する。当該責任者は相互の連絡を密にして事故防止対策の徹底をはかる。
(3) 農業倉庫の鍵の保管責任者を明確にするとともに、保管場所を特定し、厳格に管理する。
(4)警備規程を策定しこれに基づき庫外・庫内の巡回を行なう。
(5)本庫のみならず、支庫についても、常時監視体制の点検・整備を行なう。(第三者に、本庫・支庫の警備を委託する場合も含む。)
 
2.消防署・警察署の協力を得て、防火・防犯の指導を受ける。

施設の点検と整備
火災防火
(1)建物
ア.農業倉庫周辺の建築物の構造・配置を、防火上の見地から見直し、改善に努める。
イ.下屋の一部を事務所に利用する時は、火気取扱い責任者を定め責任を明確にする。
ウ.ガソリン、灯油、LPガス等の燃料や穀物に臭いが移る農薬、肥料等は農業倉庫へは保管しないよう徹底をはかる。
エ.構内の要所に火気使用禁止および禁煙の標識を掲示し、指定場所以外での火気の使用を禁止する。また、同構内は禁煙とし、休憩所に水を張った吸殻入れを備え、喫煙場所を特定する。
オ.農業倉庫内外の見回りを励行し、清掃に努める。また、倉庫周辺には木製パレットなど可燃物を置かない。
(2)電気設備
ア.電気の配線・警報器・電灯等の電気設備について、財団法人 電気保安協会等による絶縁抵抗試験 (1年に1回) を受け、電気火災の発生を防止する。
イ.農業倉庫内には裸電球を設置しない。やむを得ず設置する場合においては必ずグローブを併置する。
ウ.断熱構造の低温倉庫等における天井の照明灯は吊下式とし、断熱材から隔離する。
(3)暖房設備
 構内で使用するストーブは、日本工業規格に合格した自動消火装置(耐震自動消火装置、ガスは立ち消え防火装置)付きのものとする。また、ストーブの下敷きには不燃性の資材を使用する。
(4)消火設備
ア.「簡易消火器具の農業倉庫設備における最低基準」にもとづき、消火器を設置する。
  なお、消火器は指定機関の検定合格品を使用する。
 〔注:「指定機関」は日本消防検定協会をいう。消防法第21条17〕
イ.消火器の備え付け場所を明示する。
ウ.消火器は、点検・整備基準にもとづき一定期間(3年に1回)ごとに指定機関による点検・整備を受ける。
 〔注:消防法施行規則第31条の6〕
エ.消火器の使用方法等に関する担当者の訓練を実施する。
(5)危険通知
ア.ウレタン系、スチレン系など可燃性断熱材を使用した倉庫では、爆燃現象を引き起こす危険があるので、倉庫出入口に「可燃性断熱材使用」の旨を大書きで表示する。
イ.火災発生の際は、倉庫の出入口、天窓、地窓を密閉し初期消火に努めるとともに、速やかに関係機関に通報する。

盗難防止
(1)構内への侵入を防ぐため、周囲に塀を巡らす等により無用の者の出入りを排除する。
(2)入出庫作業にともなう下屋・検査場所等における米麦の仮置きは、極力短時間に留める。
 事情により、仮置きが翌日以降にわたる時は、厳重な警戒体制をとる。
(3)本庫の戸は可能な限り二重戸とする。
 扉の外側は鉄製または木製亜鉛板張りとし、難燃性の断熱材を使用する。
(4)錠前は可能な限り複数とりつけ、うち一つは盗難予防効果の高い「かくし錠」または「オトシ錠」を使用する。
(5)施錠の確認は、確実に実施する。
(6)防犯ベルを設置する。
 また、防犯ベルの作動状況を随時検査する。
(7)構内の要所に、外灯を設置する。
(8)休日、深夜における監視体制を点検・整備する。とくにJA事務所から離れた支庫については、周到な防犯設備を装備するとともに、在庫品の早期出庫または本庫への集約化をはかる。
(9)保管台帳、荷渡指図書等を常に在庫品と照合する。在庫品の数量確認に当たっては、必ず上級責任者も立ち合うものとする。
 なお、米トレーサビリティ法により、米穀等の入出荷の記録を作成・保存(原則3年間)することが義務付けられている。
(10)盗難事故発生の報告を受けた県本部等は、関係機関へ速やかに連絡し、近隣の農協に通報し警戒を促す。

 

農業倉庫保管管理技術研修会

保管管理技術の向上をめざして
全国4会場で開催

 JA全農と農業倉庫基金は、毎年JAおよび県本部・県連などの農業倉庫担当者を対象に、保管管理体制の強化ならびに保管管理技術の向上をはかるために研修会を開催しており、今年も全国4会場で開催されている。


修了証を交付 JAグループの米麦等の重要な物流拠点である農業倉庫は、現在全国に6800棟あり、その収容力は約610万トンを有している。最近は大型化、低温化など整備も進んできているが、依然として小規模で老朽化した常温倉庫も数多く存在している。また、JA経営の効率化などから倉庫担当者の兼務業務が増えるなど、保管管理体制の弱体化が懸念される状況にある。
 一方で、持越在庫の増加見通しの中で、虫害、そ害、品質事故の拡大も心配されるとともに、消費者や実需者からは、食の安全・安心を求める声も高まり、栽培履歴や保管管理履歴の開示が求められている。本年10月からは、米トレーサビリティ法の施行にともない、生産者や事業者に、取引の記録の作成・保存が義務付けられた。また政府米について、保管を含む販売等業務が包括的に民間委託されたことにより、米全体の保管業務のあり方が、一層厳しくなることが予想される。
 このような状況の中、農業倉庫における米麦の入・出庫を含む保管・管理には、よりきめ細やかな対応が必要となっている。
 このため、JA全農と農業倉庫基金では、毎年「農業倉庫保管管理技術研修会」を開催しているが、今年も次の4会場で研修を開催している。なお2日間の研修後、受講者には修了証を交付している。
東日本1(北海道・東北)11月25〜26日福島市
東日本2(関東・甲信越)11月11〜12日新潟市
中日本(東海・北陸・近畿・中国・四国)11月18〜19日大阪市
西日本(九州)12月2〜3日福岡市
研修内容は下表のとおり。

(写真)修了証を交付

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(2010.11.29)