難防除雑草に有力な大型剤の登場で
水稲用除草剤の延べ普及面積は、22年度の273万7000haから23年度は278万4000haと、4万7000haの増加となっている(平成23年6月末、日植調)。
その内、一発剤は170万1000ha(61%)、初期・中期・後期剤は108万3000ha(39%)のウエート。中期剤のみ減少した。
◆さらに増加が予想される2種混合剤
一発処理剤の内、2種混合剤の急成長が指摘できる。22年度の9万6000haから23年度は28万6000haと約3倍に急成長し、普及率で見ると6%から17%に躍進した。
一方、3〜4種混合剤は、それぞれ5〜6%減少しており、2種混合剤へのシフトは、明らかだ。これには今年2年目を迎え、2成分でSU(スルホニルウレア)抵抗性雑草をはじめ多くの雑草に幅広い効果がある「テフリルトリオン(全農、バイエル)が高い要望のあった市場に受け入れられた」(日植調:横山昌雄常務・研究所長)こともある。
またSU剤と同じ作用を持ちながらノビエやSU抵抗性雑草にも効果があるピリミスルファン(クミアイ化学)、プロピリスルフロン(住友化学)が登場し、今後の登録としてメタゾスルフロン(日産化学)が大型剤として追随して来るものと見られ、今後、一層2種混合剤の増加が顕著になるものと思われる(グラフ1、2)。
◆再生雑草の増加で後期剤使用も堅調
水稲ほ場においては、SU抵抗性雑草や難防除雑草のクログワイ、オモダカ等が増加しており、その防除のために有効な成分が含まれた薬剤の使用も増加している。
いわゆるスーパーSU剤で、成分数が少ない一発処理剤として期待される。
水稲用除草剤の使用後に再生した雑草が伸長するといった傾向もあり、その防除に使用される後期剤の使用が増加傾向にあるといった現象が見られる。
この傾向はペノキススラム、シハロホップブチル(ダウ・アグロサイエンス)などのヒエ剤の増加にうかがうことができる。
◆剤型では省力性のジャンボ剤が人気
水稲用除草剤の使用を製剤別に見ると、省力性の高いジャンボ剤が前年比109%と伸びている。この成長の軌道は、ここ数年の固定された現象でもある。
これに対して、従来からの3キロ粒剤の使用は減少している。その他にも粒剤(少量)、顆粒水和剤が減少となっている(グラフ3)。
敢えてつけ加えるならば、初期剤が根強い人気を堅持している。使用面積も、22年度の60万7000haから23年度には61万1000haと、僅かながら増加しているくらいだ。
伸長しているのは3キロ粒剤(前年比106%)、フロアブル(同103%)の2剤型で、1キロ粒剤は微増(グラフ4)。プレチラクロール、ブタクロール、ブタクロール+ペントキサゾンなどが大健闘している。
◆1成分剤だけでは雑草に取りこぼし
1有効成分の狙いは何だったのか? 特別栽培米や減農薬米にシフトする生産者、流通業者、そして消費者の3者の期待に応える栽培方法への転換という、いわば社会的な要望に応えようとしているのが少成分数除草剤の開発コンセプトだった。
しかし、1成分剤への期待や要望は高いものの、過去の経験からいろんなリスクを負っていることも事実。
「1成分剤だけでは防除できない雑草が現れる可能性があることから、2種混合剤も準備された」(横山常務)と見られる。
少成分数への評価は、この2〜3年で確定されるだろう。