特集

第57回JA全国女性大会 創立60周年記念特集
出席者
足立武敏氏・JAにじ(福岡県)代表理事組合長
中村都子氏・JAコスモス(高知県)福祉生活部
池田陽子氏・JAあづみ(長野県)福祉課
司会
今村奈良臣氏・東大名誉教授

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【座談会】JAは地域の生命線 女性が創る地域力  足立武敏氏・中村都子氏・池田陽子氏・今村奈良臣氏

・女性の力をどう引き出すか
・経済的自立は1つの出発点
・女性が引き出す男性の力
・「赤い褌隊」の力を発見
・「地域が安心」を掲げる
・どう暮らすか、を一緒に
・農協に働きかけ事業を作り出す

 本紙は今村奈良臣東大名誉教授とともに「シリーズ・JAは地域の生命線」と題して注目のJAの運動、事業をレポートしてきているが、JA全国女性大会特集号の今回は「女性が創る地域力」に焦点を当てた。座談会には地域で粘り強い活動づくりに取り組んできた方々に語ってもらったが、直売所や助け合い活動など女性たちの自主的な活動が、男性や子ども、高齢者まで、さらに地域に暮らす多くの人々の「幸せづくり」につながっていることが強調されたほか、今後のJA事業の大きな路線の1つが示された。まさに「女性は地域の生命線」になっている。

女性の持つ粘り強さを地域づくりの原動力に


協同への「参加」で願いを実現


◆女性の力をどう引き出すか

 今村 今日のテーマは「女性が創る地域力」です。まずはそれぞれの活動を聞かせていだきたいと思いますが、最初に足立組合長からJAにじの女性部活動について紹介していただけますか。
 足立 ほとんどの女性が勤めに出るという時代になってきて、行政が組織している地域婦人会とJA女性部という2本立てになっていた女性組織のうち、婦人会はほとんどつぶれていったんです。そうなるとJAの女性部も地域によっては、なくせるものならなくそうか……といった動きが出てきた。最初は奥歯が少し欠けた程度でしたが、そのうちどんどん歯が抜けていくという感じになったので、これではいけないと平成12、3年ごろ1年かけてどんな女性部組織にしたらいいのかを検討したわけです。
足立武敏氏・JAにじ(福岡県)代表理事組合長 その結果、女性たちが自分のやりたいことで集まるグループ活動を主体にした組織とすることにしました。大きな区分けは目的別、世代別のほか、農産加工などのワーカーズ、農業生産を主体とするアグリといったグループで、星の数ほどグループをつくろうと呼びかけて活動を活性化させていったわけです。つまり、農業生産のグループもあれば、都市の消費者と交流をするグループ、子どもたちの農業体験を応援するグループもあるなどさまざまということです。以前は集落単位が組織の基本でしたが、それをグループ単位で組織し直し、今は413グループがあります。
 今村 そのなかには直売所に出荷するグループもあって直売所も女性が支えているということですか。
 足立 出荷者は1100人ほどいますが、やはり中心は女性ですね。ただ、直売所は農家経済にもかなり貢献していますから、男性でも直売所に出荷するため年間作付け計画を立てて取り組んでいる方も多くなりました。経済的にも豊かになりますが、さらにやり甲斐といいますか、病院には行く暇がない、と。いつのまにか忘れてしまった、元気になった、という人も多いです。
 今村 男女を問わず生活に役立っているわけですね。女性がグループ活動をする活力をどう引き出したのですか。
 足立 引き出すというよりも、私の家のことを考えても農業の95%は家内が担っていますし、全体でも60%以上が女性の力だということです。
 それから毎日の家庭のやりくりも大概は女性に任せていますね。どこに貯金するか、共済に加入するかどうかもほとんど女性の判断ですし、金融店舗に来るのも女性が3分の2です。女性がJAの担い手といっても過言ではないわけで、これが盛んなグループ活動に現れたと思います。
 女性にもJA経営に参加・参画してもらうことがJAの活性化につながるし、それがひいては組合員の幸せづくりにつながると考えています。

(写真)足立武敏氏・JAにじ(福岡県)代表理事組合長


◆経済的自立は1つの出発点

 今村 直売所といえば、中村さんは「はちきんの店」を全国のトップランナーとして興しましたね。改めて経緯をお聞かせください。
中村都子氏・JAコスモス(高知県)福祉生活部 中村 「はちきんの店」のきっかけは、家の光が提唱した「50万円自給運動」です。それを推進するため私たちは家庭菜園コンクールを企画しました。女性部役員と営農指導員で審査しようと農家の菜園に出向いたんですが、どの畑も非常にきれいに管理されていました。ただ、これが全部家庭で消費されるのかといえば、やはり花が咲いて薹が立ってしまって、ということもあってやはり食べきれていない。そこでこれをなんとかお金にできないか、と。
 しかし、当時あったのは道ばたに箱を置いて品物を並べ消費者に空き缶の中にお金を入れてもらうという無人販売所でした。これは無人なわけですから、消費者の良心を問うというものだったわけですが、それを逆転させて農家の良心、つまり安全・安心を売りたいと思った。
 というのも、そのころよく消費者から言われたのは農家は自家用に食べるものと商品として販売するものでは栽培方法を変えているんじゃないか、商品として売るものは見た目がきれいじゃないとだめだからと農薬をたくさん使っている、などですね。そんな見方があったので「はちきんの店」には実際に農家が家族に食べさせているものを並べる、これを安心・安全の基準にしようと考えました。
 ただ、先進事例がなかったので私も毎日毎日、店頭に立って消費者のみなさん、生産者女性のみなさんと話し合って、1束100円、50円と値をつけて一生懸命出荷してくれたものをどうやったらもっと売れるのか、どうやれば消費者の希望にそえるのかと考え続けたわけですが、それは私自身の学びになって、農協とは何ぞや、それを一部でも理解できるようになったと思っています。
 それと同時に私は男女共同参画社会ということも考え始めました。そのためにもある程度の経済的な自立が女性には必要なんだと思っていましたが、実際に売れることが分かるとみんな喜びを感じて一生懸命になりました。

(写真)中村都子氏・JAコスモス(高知県)福祉生活部


◆女性が引き出す男性の力

 中村 だけど、次第に売れるだけでいいんだろうか、このお金をどう使うかが大切ではないかとも考えるようになったんです。もちろんみなさん子どもの教育であるとか、それなりの使い方はしていましたが、もっと自分を高めるために使ってほしい、と。
 そこで私はみんなに毎月たくさんの企画を投げかけました。歩こう会、カラオケ教室、食の安全・安心の勉強会などいろいろな企画を提案し、それに参加をしてもらうかたちで女性の勉強の場をつくっていったんです。その勉強の場から高齢者介護が大切だという話になって、自主的な助け合い組織も発足しました。つまり、「はちきんの店」がきっかけとなっていろいろな活動が生まれた、女性の力はすごいなと思っています。
 一方で女性部はあるのになぜ男性部はないのか? ということも非常に疑問でした。
 今村 なるほど。みんな男性部などないことが当たり前だと思っていますよね。
 中村 私は営農指導課で生活指導員として仕事をしていたんですが、生産組織の会合にも出席させてもらっていたんです。でも、作が悪かった、気象がよくなかった、肥料農薬が高い、営農指導員が巡回してこないといった話ばかりだったので、この人たちにもっと楽しい話をさせる場を提供することを考えてもいいのではないか、と考えたのが『赤い褌隊』だったわけです。
 今村 ネーミングが強烈でしたね。


◆「赤い褌隊」の力を発見

 中村 男性の象徴ということで。みんな、ぷっ、と吹き出す。しかし、男性はさすがで自主的な活動ができるんですね。実は昨日も『赤い褌隊』が町の恵比寿祭りに参加しました。(関連記事
 町の繁栄を願う農、商、工が一体となって行う祭りなんですが、そこに韓国の女性アイドルグループ、KARAの扮装で出場しました。おじさんたちがミニスカートを穿いて。衣装は女性部が準備して、前日に集まってあのお尻を振るダンスを一生懸命練習しました。私もメイクを手伝ってきたんですが、付けまつげをする、と言い出した(笑)。やるなら徹底的にやろうじゃないか、ちょっとだけ馬鹿になったのならいっそのこと馬鹿になりきるんだ、と。そうしたら俺も俺もと、みんながつけまつげをつけはじめた。結果は準優勝でした。
 小難しい話ばかりして、群れるのは嫌いで一人で過ごしたがるという男の人のイメージとは違うというのはすごく新しい発見で、私はこれからの目のつけどころは女性ではなくて逆に男性だなと思っています(笑)。


◆「地域が安心」を掲げる

 今村 それでは池田さん、お願いします。
池田陽子氏・JAあづみ(長野県)福祉課 池田 私は女性たちの組織活動を活性化させるためのコーディネーター役の仕事をしてきましたが、JAあづみが平成10年に福祉課をつくるとき、JAと地域が一体感を持った地域協同活動ができるような場をつくりたいと思っておりました。
 その思いで「JAあづみくらしの助け合いネットワーク『あんしん』」や「JAあづみ生き活き塾」などを立ち上げました。このうち助け合いネットワーク『あんしん』は、介護保険制度が導入されるにあたって介護保険ではカバーできない人たちを対象に有償在宅サービスあんしん広場、元気高齢者の活動に取り組んでまいりました。「生き活き塾」は平成11年から始めました。この活動はさまざまな地域活動を進めていくには組合員の人たちにもっともっと学習してもらうことが大事だと考えて立ち上げました。
 学習のテーマは農業協同組合として農業へのこだわりはもちろん、福祉、健康、環境といったことも取り入れ、そこで学習したことをまずは自分の家庭で実践し、次に地域で実践して活動を広げていくという方針を打ち出しました。
 今村 非常に感心するのは、組織された組合員や女性部以外にも活動を広げようとしてきたことです。地域全体を組織するという発想はどこから来たのでしょうか。
 池田 足立組合長がお話しされたように女性部の組織活動は私たちのJAでも減少するという傾向にありました。そんな状況のなかで先ほど話した福祉課ができました。そのことをきっかけに男性も女性も子どもたちも参加し創るJAらしい地域福祉活動を創りたいと願った。
 JA女性部には長い歴史があります。逆にそれだけ固定化されたイメージもありました。しかし、新しい活動に取り組んで組合員の期待に応えたいという想いもありました。

(写真)池田陽子氏・JAあづみ(長野県)福祉課


◆どう暮らすか、を一緒に

 池田 それを捉えるイメージとして地域福祉活動を創るために、くらしの助け合いネットワーク・あんしんは確かに介護保険制度のスタートに対応したものではありましたが、地域に出てみると“地域でもっと元気に暮らしたい”といった人たちが多く、その気持ちに応えたいという活動として考えました。
 また、組合員が出資して農業協同組合をつくっている以上、地域に暮らす人々があんしんして暮らしたいと1人ひとりが意識していくことによって地域を少しでも変えていけるのではないかということから、今までの女性大学や若妻大学といった既存の組織を再構築していこうと『生き活き塾』ができてきたんです。
 こうした活動を始めるときに組合員のみなさんと約束したことは農業協同組合の原点に戻って活動しましょうということでした。原点に戻るとはどういうことかといえば、私たちがこの地域でどう生きていくのか、どう暮らしていくのかということを個人として組織として何ができるのかをみんなと一緒に考え創っていきましょうということです。
 福祉課発足から今年で14年目になり、学習の場である『生き活き塾』は7期生を迎えています。この間、学習したことを地域で実践しようとその中の1つが『ふれあい市安曇野五づくり畑』という直売所です。自分の夢を実現するために自分たちが計画して立案し資金までも含めて自分たちで実現させよう、と始めました。最初はコンテナ4つに戸板1枚を置き、そこに『生き活き塾』で学んだ安全・安心のうまい野菜を並べてスタートしたんです。


◆農協に働きかけ事業を作り出す

 池田 ここでは利益の15%を将来のために拠出してもらう約束をしたんですが、10年経つなかで、一方でミニデイサービス『あんしん広場』に集まるお年寄りたちが買い物が難しくなってきたという課題も出てきました。
 そのとき、「五づくり畑」活動の利益15%を積み上げたお金で軽トラックを買いたいという話になりました。軽トラックで移動店舗のような取り組みをしたいということになったんです。大きいトラックは買えないけれども、小回りの効くこの軽トラックに日用品などを積んで「あんしん広場」に乗り付ければ買い物ができるではないか、と。付けた名前は「ご用聞き車あんしん号」。高齢者の人たちのご要望をどんどんお聞きして品ぞろえしますよ、さらにどんな御用も聞きますよ、という取り組みが始まっています。
 今村 こうした事業はとくに中山間地域では重要になってきており、その突破口になったと思いますね。
 池田 やはり原点は、私たちはこの地域でどうやって生きていくのか、どうやれば幸せになれるのかを自分たちで考え出すということだと思います。地域への広がりということでいえば今、生き活き塾も男性の参加が2割になっていますし、ご用聞き車あんしん号の運転手も男性です。
 それから学校給食への食材提供の取り組みでも男性が中心になって、俺は孫たちにうまい野菜を食べさせたいんだと言ってミニトマトづくりは男性がリーダーになってやってくれています。
 組合員教育などと大見得を切るのではなく、地域のなかでこんなことをやってみたいということを学習の場でみんなが学び合い、みんなが知恵を出してできるときにできることをやってきた。つまり、農協というものは何かをやってくれるものではなくて、自分たちが組合員として私たちの願いや夢を実現する組織なんだという意識に十数年のなかで変わりつつあると思っています。


◆協同組合の基本は「参加」

今村奈良臣氏・東大名誉教授 今村 女性も含めて農協への参加、参画が大事だということですが、足立組合長、参加とはどういうことなのか、組合員にどう伝えていますか。
 足立 みなさんには、常々、協同組合は参加から始まる、と言っています。
 1995年のICA(国際協同組合同盟)総会で協同組合原則が採択されていますが、その前の92年の東京大会のとき私は日本の委員として協同組合の原則とか価値といった検討に参加していました。そこで当時のICA会長は参加、民主主義、誠実、他人への配慮といったことを強調し、これが協同組合の基本的価値だと言った。私はそのときまで参加とか、他人への配慮が基本的価値であるといったことは認識していなかったわけです。
 そのときに協同組合には崇高な理念があって、協同組合が儲かるというのではなくて組合員が豊かになる、幸せになることが基本的な目的なんだということを改めて理解しました。そのためにはとにかく参加しなければ何も恩恵は受けないということです。
 そこで、まずは組合員になる、そして研修会や学習会に参加して協同組合とはどういうものかを理解し、そのうえで協同組合の事業を利用する。貯金や共済、購買、販売といった事業を利用することによって初めて恩恵を受けるということですね。だから私は常々協同組合は参加から始まると言っているんです。

(写真)今村奈良臣氏・東大名誉教授


◆運動とは奔走尽力すること

 足立 そこで私たちはまず女性の正組合員加入を推進しました。前の組合長時代から女性総代を20%にしようという目標を掲げました。総代数は550ですから110人にしようと。
 しかし、1回め、2回めの改選でもなかなか増えない。それで私は実現しないのは運動の意味が分かっていないからだと支店長たちに言ったんです。運動とは辞書を引くと、目的を達成するために奔走尽力すること、と書いてあります。ところが支店長たちにどんな運動をしているのかと聞くと、農事組合長さんなどによろしくお願いしますと言っています、でした。だから私は、それだけでできるか? 運動だから奔走尽力しなければいけないんだ、と。つまり、ここの集落ではAさん、Bさん、Cさんなど5人の女性の正組合員さんがいます、このなかから2人、総代にしてください、という具体的なお願いをしなければ実現しないんだ、と。さらに途中で、どうなっていますか、と聞かなければいけない。たとえばその集落で女性が全然選ばれていないのであれば、総代となっている男性の奥さんが正組合員かどうかを調査して、もし正組合員であったなら奥さんと代わってもらうように働きかけろ、と。そのぐらい具体的に動くことが運動であり、奔走尽力だぞ、と諭して、今、各支店で20%を超し117人、21.3%の女性総代が誕生したんです。
 女性総代が増えたので、総代会での議長団も男性1人、女性1人としました。さらに総代会の前にはそれぞれの地区で女性総代が学習会をするようになり、今、JAにはどんな問題があるのか、何を要求したらいいのか、ということを勉強してきます。
 昔の総代会では女性の発言はほとんどありませんでしたが、今年は男は1人、女性は6人ですよ。今や総代会では女性の発言のほうが多い。しかも女性は学習会をして発言内容をきちんと文書にまとめて準備をして理路整然として発言します。私としては女性が要望したことは努めて早く実行する(笑)。そうすると総代会で発言したことが成果として現れるということがみなさんに分かるわけです。


◆地域へJAがメッセージを

 今村 では最後に女性の創る地域力、これをさらに伸ばすにはどうすればいいか。JA全国女性組織協議会も60周年を迎えたということですから改めて提言をお願いします。
 中村 私の協同組合活動は、やはり「はちきんの店」から始まっていて、安心・安全でおいしい農産物を供給したいという大きな目標がありました。だから、野田総理はTPP参加によって豊かな日本の継続を、ということを言いますが何が豊かさなのか見えてこないし、国民の食、命の安全を保証しきれるのかという疑問を持っています。
 こういうときにこそJAの総合力が必要とされているのではないか。食の安心・安全をJAがどう消費者に向けてPRし守っていくのか。食料の問題というのは日本民族の存続にも関わる重要な問題だと思いますが、反対、反対という運動だけではことは済まされず、食の安心・安全という原点に力を合わせて取り組んでいくことが女性部などの組合員組織の大きな役割だと思っていますし、それをさらにJA間協同でつくりあげていかなければならないと訴えていきたいと思います。
 池田 JAや生協といった組織は民間よりも地域住民にとってはずっと安心感はあると思いますし、期待もされているでしょう。しかし、地域のなかでJAは多くの組織、機関のなかの1つと思っている人が圧倒的に多いと思います。
 だから、JAだけでは自己完結できないという視点で行政などと手をつなぎながら地域のなかで生き残っていけるJAをめざすことだと思います。それを積極的に進めていくとき、JAとして何を発信していくかといえば、住み慣れた土地、住み慣れた家でつつがなく老いていきたい、そして明日も安心して暮らしていくための役割を果たしているというメッセージだと思います。
 それが地域の人たちに共有されてきたと私たちは感じています。これからはさらに農業生産活動とともに、暮らしや地域にも目線を当てながら地域協同組合として生き残るための努力が問われていると思っています。

◆1人の女性がJAを変える

 足立 女性部活動がJAの事業化につながった事例から今後のJAを考えてみたいと思います。
 平成10年頃、総代会で初めて女性が手を挙げたことがあります。その人がどんな話をしたかといえば、私たちはJAのお世話でホームヘルパーの資格試験を受けて合格しました。合格者は120、30人いて助け合いグループをつくっています。しかしつくったけれども働く場が全然ありませんと。何か私たちに働く場を与えてくださいと。何かデイサービスセンターのようなものがあればいい、ということでした。
 その当時、私たちは福祉は行政がやるものだと思い込んでいたんです。そこに総代会での発言があり、中央会からの勧めもあってJAの高齢者福祉活動の先進的なところを視察に行って、これならわれわれもできるということで平成12年から始めることになったんです。今は2つつくって、1つには45人、もう1つには30人ぐらいの利用がありますから、合わせると70人以上毎日デイサービスに来るという状況です。それからは家族の帰りが遅くなったら夜間も看てくれんか、という声も出て、いいですよということにもなった。日曜日もお願いできませんか? いいですよ、と。ショートステイはできませんか? 分かりました、と。
 そして今度は高齢者賃貸住宅はどうか、という話になって、やりましょうとなって、始めてみると満室になりました。今、要望が出てきているのがなかなか高齢者は歯医者さんに行けない、痛くなっても我慢をしている、だから移動歯医者さんを検討してもらえないか、です。来年度の事業として検討しています。
【座談会】JAは地域の生命線 女性が創る地域力 つまり、1人の女性の発言から広がって多くの組合員が助かるようになった。それによって家族も助かるようになったということですし、福祉事業のほかにも葬祭事業、直売事業も含めてこれらは要望に応えて新たに事業化したもので、今やJAを支える事業になっているということです。
 これからの課題としては、やはり農産物の加工品ですね。これにしっかりと取り組まなければいけない。ワーカーズグループがいろいろな加工品を作っていますが、それをセットにして販売するといった事業にもつながっています。女性の発言、活動がJAの事業の大きな柱になりつつある。 したがって今後は若い女性をJAに引きつけることも大事です。今、60人ぐらいが参加するJA女性大学を始めていますが、参加者は若々しい。私は学長として講義の最初に10分程度の話をします。非常に緊張感もあるけれど楽しい。こんな女性たちがJAで学習をし地域のリーダー、女性参画のリーダー、よきお母さんになる、そうなればいいと思います。
 今村 みなさんのお話を伺って「女性は地域の生命線」という思いを強くしました。ありがとうございました。

(2012.02.07)