遺伝子組み換え食品の真実

- 著者
- アンディ・リーズ(白井和宏訳)
- 発行所
- 白水社
- 発行日
- 2013年3月10日
- 定価
- 2400円+税
- 評者
- 天笠啓祐 / 市民バイオテクノロジー情報室代表
昨年の遺伝子組み換え(GM)作物の作付け実績は、国際アグリバイオ事業団によると1億7030万haになり、世界の農地の10%を超えた。
一方、GM技術は高度に構造化された遺伝子の働きをかき乱す、実に乱暴な技術であることが、明らかになってきており、そのため栽培面積が拡大するにつれて、生物多様性や農家の健康などでさまざまな影響が広がり始めており、食の安全に関しても不安が広がっている。しかも利益を得ているのは、開発企業だけである。
GM作物の国家戦略をリポート
本書はまず、そうしたGM作物の実態をさまざまな例をあげて示し、全体像を提示している。次に、それほど問題があり、しかも世界中の市民が嫌い、抗議活動を行っているような作物が、ここまで拡大してきたのは何故か、が述べられている。著者によると、そこが本書の主題だという。
そこには遺伝子を特許にし、種子を支配し、世界の食糧支配を目論むバイテク企業の戦略があり、その戦略を遂行するために政府までも支配してしまう、ロビー活動の実態が示されていく。
その代表が「回転扉」と呼ばれる、政府の高官と企業の役員を行き来する仕組みである。その結果、モンサント社のような多国籍企業が全世界の食糧を支配する構造が出来上がってしまった。
著者はさらにバイテク企業が、意に沿わない科学者を攻撃し、マスコミを買収し、世論を操作する、その実態も述べていく。
本書の著者は、英国から世界に向けて毎日、GM問題について情報を発信し続けているGMウォッチのメールマガジン元編集長で、本書は、その豊富な情報量に裏づけされている。
また訳者が、新しい情報を丁寧に付け加え、また日本の情報をあとがきの解説で加え、読みやすくなっている。
日本ではいま、TPP問題が争点化しているが、その中でGM作物・食品が注目されている。なぜTPPでGM作物なのか。この本を読むとその答えが理解できる。ぜひ多くの人に読んでもらいたい。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(47)【防除学習帖】第286回2025年2月22日
-
農薬の正しい使い方(20)【今さら聞けない営農情報】第286回2025年2月22日
-
全76レシピ『JA全農さんと考えた 地味弁』宝島社から25日発売2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年2月21日
-
農林中金 新理事長に北林氏 4月1日新体制2025年2月21日
-
大分いちご果実品評会・即売会開催 大分県いちご販売強化対策協議会2025年2月21日
-
大分県内の大型量販店で「甘太くんロードショー」開催 JAおおいた2025年2月21日
-
JAいわて平泉産「いちごフェア」を開催 みのるダイニング2025年2月21日
-
JA新いわて産「寒じめほうれんそう」予約受付中 JAタウン「いわて純情セレクト」2025年2月21日
-
「あきたフレッシュ大使」募集中! あきた園芸戦略対策協議会2025年2月21日
-
「eat AKITA プロジェクト」キックオフイベントを開催 JA全農あきた2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付、6月26日付)2025年2月21日
-
農業の構造改革に貢献できる組織に 江藤農相が農中に期待2025年2月21日
-
米の過去最高値 目詰まりの証左 米自体は間違いなくある 江藤農相2025年2月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】有明海漁業の危機~既存漁家の排除ありき2025年2月21日
-
村・町に続く中小都市そして大都市の過疎(?)化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第329回2025年2月21日
-
(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
-
【次期酪肉近論議】畜産部会、飼料自給へ 課題噴出戸数減で経営安定対策も不十分2025年2月21日
-
「消えた米21万トン」どこに フリマへの出品も物議 備蓄米放出で米価は2025年2月21日