森林飽和 国土の変貌を考える

- 著者
- 太田猛彦
- 発行所
- NHK出版
- 発行日
- 2012年7月30日
- 定価
- 1100円+税
- 電話
- 03-3780-3317
- 評者
- 吉藤敬 / 林政ジャーナリスト
森と人とのかかわりを縄文時代にさかのぼって説き明かし、政治、社会、経済の変化によって森林が酷使され、国土の荒廃が長く続いてきた。現代は歴史的に見て最も森林が安定していて、大洪水災害が減少している。しかし、海岸の後退や里山の荒廃など国土環境に危機が迫っている。それは主に飽和状態にある日本の森林にその原因があると指摘する。
木材の利用が森の活力を維持
そのような新しい環境の中で、持続可能な社会を創造するひとつの試案として、「木造住宅を建てることは、花粉症や温暖化など私たちの身近な問題の解決のためにも、持続可能な社会を創るためにも不可欠な行動である」。また、「護る森」と「使う森」があることを明確に意識することが大切であるとしている。このような理論は、これまでの森林、林業関係の著書では見られないだけに斬新な感じを受ける。
しかも、人びとが森林から離れて行き、森林を利用しなくなったために、森林そのものが劣化荒廃を促進させ、国土の危機的な状況にあることを、自ら行った実地調査に基づいた理論だけに説得力がある。著者は、森林は木材を利用することによって活力ある健全な状態を維持できることを語りかけているのであり、林業関係者だけでなく一般の人びとにも森林と国土環境に関する理解しやすい解説書なので、林業関係者はもとより都市生活者にも是非読んでいただきたい。
重要な記事
最新の記事
-
飼料用米多収日本一 山口県のあぐりてらす阿知須 10a当たり863kg2025年3月3日
-
【特殊報】ナシ胴枯細菌病 県内で初めて発生を確認 島根県2025年3月3日
-
政府備蓄米売り渡し 入札 3月10日に実施 農水省2025年3月3日
-
新潟県の25年産米概算金「コシ2.3万円」 早期提示に歓迎の声 集荷競争、今年も激化か2025年3月3日
-
米の集荷数量 前年比23万t減に拡大 農水省2025年3月3日
-
米価高騰問題への視座【森島 賢・正義派の農政論】2025年3月3日
-
【次期家畜改良目標】低コスト、スマート農業重視 酪農は長命連産、肉牛は短期肥育2025年3月3日
-
【改正畜安法の現状と課題】需給対策拡大が焦点 問われる「国主導」2025年3月3日
-
あなたたちは強い〝武器〟を持っている JA全国青年大会での「青年の主張」「青年組織活動実績発表」講評 審査委員長・小松泰信さん2025年3月3日
-
JA農業経営コンサルタント 15人を認証 全中2025年3月3日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年3月3日
-
農業用バイオスティミュラント「エンビタ」とは 水稲育苗期にも効果 北興化学工業2025年3月3日
-
アミューズメント施設運営「ティスコ」株式を譲受 農林中金キャピタル2025年3月3日
-
「2025ローズポークおいしさまるごとキャンペーン」でプレゼント 茨城県銘柄豚振興会2025年3月3日
-
福岡ソフトバンクホークスとのオフィシャルスポンサー契約更新 デンカ2025年3月3日
-
ファーマーズ&キッズフェスタ2025 好天で多数の参加者 井関農機は農業機械体験2025年3月3日
-
【今川直人・農協の核心】産地化で役割が高まる農協の野菜取り扱い2025年3月3日
-
野菜がたっぷり食べられるカレー味「ケンミンカレー焼ビーフン」新発売2025年3月3日
-
第164回勉強会『海外市場での植物工場・施設園芸の展開』開催 植物工場研究会2025年3月3日
-
春の山梨の食材の魅力を伝えるマルシェ 5日から国分寺マルイで開催 雨風太陽2025年3月3日