宮沢賢治の菜食思想
- 著者
- 鶴田静
- 発行所
- 晶文社
- 発行日
- 2013年6月20日
- 定価
- 本体2200円+税
- 電話
- 03-3518-4940
- 評者
- 佐藤喜作 / 一般財団法人農協協会会長
宮沢賢治没した9月21日は今年で80年。日が降る毎に、何か事件があるほど彼が話題になり、その思想が参考にされ賢治は生き返る。宮沢賢治は青年時代から尊敬し憧れの的であったが、私は戦中戦後で充分な読書もできず、菜食主義者であったことは知らなかった。しかし書中に出てくる松田甚次郎の「土に叫ぶ」を読んで感激し鳥越(現山形県新庄市)を訪ねたことがある。
命の尊厳 賢治の視点
今日、食原病(習慣病)と称されるメタボリックシンドロームが世界を席圏しているが、これは食の乱れから来たものであり、賢治の時代の農村の食卓は粗食で、肉、魚は今日ほどではなかった。それは現金で購わねばならない、仏教と関連している、魚肉は生臭物とし特に肉は不浄物と捉えていた。精進日には魚も食べないものであった。それにしても化学者賢治が宝石製造の夢を棄て、ひたむきに百姓の目線に立っての、総ての命の尊厳に視点を置いた食と農の実践と総ての作品との広範な関係の接点を解説したのが本書の内容である。
有名な雨にも負けずの中の「一日ニ玄米四合ト 味増ト少シノ野菜ヲタベ」は粗食にあらずして「蘇食」と言うべきであろう。そして欧米で注目され普及しているマクロビオテック(玄米正食)が難病を治癒させる力を持つといわれる。
ギリシヤのヒポクラテスは「食べ物で治らない病気は薬でも治らない。食べ物は薬になるが、薬は食べ物とはならない」と喝破している。
現今社会の食に対する混乱、生きる意味、健康、難病、粗食、美食、蘇食、飽食、家庭食から外食、食品公害等で混乱する時に本書が出版された意味は極めて意義のあることである。
重要な記事
最新の記事
-
【第45回農協人文化賞】人との出会いに感謝 福島県・会津よつば農協組合長 原喜代志氏2024年8月14日
-
【第45回農協人文化賞】努力する人は希望を語る 共済事業部門 鳥取県・JA鳥取西部前代表理事専務 植田秋博氏2024年8月14日
-
【第45回農協人文化賞】「なくてはならない」組織に 経済事業部門 JA岡山会長 宮武博氏2024年8月13日
-
【第45回農協人文化賞】全ては組合員のために 経済事業部門・JA全農ぐんま 前副会長 大澤孝志氏2024年8月13日
-
関東早場米も店頭5㌔2500円以上が売価に【熊野孝文・米マーケット情報】2024年8月13日
-
【第45回農協人文化賞】きのこが健康けん引確信 営農経済部門・日本きのこマイスター協会理事長 前澤憲雄氏(長野県)2024年8月10日
-
【第45回農協人文化賞】土づくりへのこだわり 営農経済部門 秋田県・JA秋田しんせい前常務 高橋徹氏2024年8月10日
-
シンとんぼ(105) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(15)-2024年8月10日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(22)【防除学習帖】 第261回2024年8月10日
-
土壌診断の基礎知識(31)【今さら聞けない営農情報】第261回2024年8月10日
-
【第45回農協人文化賞】「小さな協同」の実践を目指して 一般文化部門 長野・JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年8月9日
-
【第45回農協人文化賞】「草の根運動」とともに 一般文化部門・JA広島中央会元専務 坂本和博氏2024年8月9日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 香川県2024年8月9日
-
【注意報】果樹カメムシ類急増で被害多発のおそれ 滋賀県2024年8月9日
-
【注意報】ミニトマト、トマトにトマト黄化葉巻病 県中部で多発のおそれ 和歌山県2024年8月9日
-
【注意報】ネギ、ブロッコリー、ダイズにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年8月9日
-
(396)首都の場所:赤道ギニア共和国【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年8月9日
-
【'24新組合長に聞く】JA碓氷安中(群馬県)戸塚勉組合長 野菜のブランド産地へ (5/31就任)2024年8月9日
-
米の品種や食味などを分析 米品質診断パッケージ、キャンペーンを実施中 サタケ2024年8月9日
-
北海道産赤肉メロンのパフェとかき氷 期間限定で登場 銀座コージーコーナー2024年8月9日