ドイツ農業と『エネルギー転換』

- 著者
- 村田武
- 発行所
- 筑波書房ブックレット
- 発行日
- 2013年10月7日
- 定価
- 750円+税
- 電話
- 03-3267-8599
- 評者
- 北出俊昭 / 元明治大学教授
ドイツは福島原発事故のあと即刻2022年までに原発完全廃止を決定したため、その再生可能エネルギー政策への関心が高まっている。
バイオ中心に転換
協同組合がけん引
本書はバイオマス・エネルギー中心に農業との関係でその実態を検討しているところに類書にない特徴がある。それは次の3点に集約できる。
第1は再生可能エネルギー政策の注目すべき歴史についてである。マンスホルトプランは企業的な大規模穀作経営を目指したが、これに対し「農家は農業収入だけでなく農外収入を合理的に確保し総体としての所得増加」を目指した「バイエルンの道」があったことを重視する。バイオマス・エネルギー事業がこの理念で取り組まれたのはいうまでもない。
第2はこうした観点から個別農家の実態を分析し、バイオマス・エネルギー事業の発展が農業経営の多角化など新たな経営展開を促進させていることを具体的に明らかにしている。その要因として家畜糞尿利用ではメタンガス発生後の消化液を液肥として散布するなどの興味ある例が示されている。
第3は再生可能エネルギー事業では協同組合方式が「ブームになっている」ことが強調されている。それは出資配当、買電収入、各種助成金をはじめエネルギー熱の域内利用など、利益を地域に取り込むには協同組合方式が最も理に適っており、この運動を基礎に家族農業経営と農村の保全など地域づくりでも新たな局面が生まれているからである。
本書はドイツの再生可能エネルギー政策そのものではなく実例の紹介が中心であるが、学ぶべき多くの示唆を与える一書である。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日