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動きはじめた「農企業」

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動きはじめた「農企業」
著者
小田慈晃・長命洋佑・川崎訓昭 編著
発行所
昭和堂
発行日
2013/12/7
定価
本体2700円+税
電話
075-706-8818
評者
花田浩介 / シンジェンタ ジャパン/カスタマーマーケティング部
 「年だからもういい加減に田んぼはやめてくれって言われたけど、他に頼める人がいない。ぜひ、引き受けてほしい」。こうして気が付いたら経営面積が100haを超えていましたと、ある若い水稲生産者さんが語ってくれました。

 1990年から2010年にかけて農業に起こった様々な変化は、この国の農業の将来が厳しいものであることを示しています。農業従事者の著しい高齢化、食のグローバル化による農産物価格の低迷。生産者は生産意欲を失い、耕作放棄地が増加しています。農業自体の変化、さらには流通や消費者ニーズの変化を本書は簡潔に分析しています。
 農企業には、伝統的な家族農業経営から集落営農に代表される組織農業経営体、先進的と目される企業的農業経営体など、様々な経営形態があり異なる目的と戦略を持っています。いずれも地域のリーディングファームとして、人材育成、技術の普及、六次産業化の事業主導、雇用創出など地域経済の活性化、ひいては農業資源の維持・保全にも貢献が期待されています。本書では、それらの現状と課題をケーススタディという形で分かりやすくまとめています。
 企業という言葉は英語でCompany。一緒に(Com)パン(pany)を食べる人という意味です。つまり、農企業とは、農業を通じて結びついた仲間、人の集まり、会社を指します。思いを同じくするもの同士が集まって力を合わせることで大きな力が生まれます。次世代の農業の担い手として農企業の動きから目が離せません。

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