地域からの農業再興
- 著者
- 蔦谷栄一
- 発行所
- 創森社
- 発行日
- 2014年1月22日
- 定価
- 本体1600円+税
- 電話
- 0120-29-9625
- 評者
- 黒田義人 / JAえひめ南代表理事組合長
これは警世悲願の書である。日本農業を取り巻く困難を基軸として世界と日本の今を俯瞰し、過去に遡及し、未来を憂えているのである。
現場を発奮させる
農業再建への道筋
農業と工業との文明的相克関係を解き明かし、市場原理主義と共生思想との対峙の実相を示す。最大限の利潤追求を至上命題とする市場原理主義の理論と実践が21世紀を席巻しようとしている。TPPもその一翼であり、この国の農業及び農村はまさしく危急存亡の秋(とき)を迎えている。内憂もある。後継者無き高齢化と所得低減が負のスパイラル運動を加速化させている。行動者でもある著者の丁寧な実地踏査は、全国各地に及び、その地域の悶えと希望を伝える。
生産者と消費者の交流ネットワークなどさまざまな結びつきを基盤とするコミュニティ農業には地域特性、多様性、循環性、持続性などの関係諸要素がある。そこに日本農業再興の道すじがある。それらを崩壊させてしまう動きに対するアンチテーゼとしての期待も込められているようだ。
本来、科学技術成果たる工業それ自体は、人間性や農業を圧迫するものではない。むしろ可能性を高める。市場原理主義の頸木からの解放こそが必要なのである。
私たちは、工業化・都市化の過程で失った人と人との共生関係を取り戻さねば、物と心との調和ある真の豊かさを実現できず、幸せな社会もありえない。大いに啓発され、発奮させられる文字通りの良書であった。
重要な記事
最新の記事
-
【第45回農協人文化賞】人との出会いに感謝 福島県・会津よつば農協組合長 原喜代志氏2024年8月14日
-
【第45回農協人文化賞】努力する人は希望を語る 共済事業部門 鳥取県・JA鳥取西部前代表理事専務 植田秋博氏2024年8月14日
-
【第45回農協人文化賞】「なくてはならない」組織に 経済事業部門 JA岡山会長 宮武博氏2024年8月13日
-
【第45回農協人文化賞】全ては組合員のために 経済事業部門・JA全農ぐんま 前副会長 大澤孝志氏2024年8月13日
-
関東早場米も店頭5㌔2500円以上が売価に【熊野孝文・米マーケット情報】2024年8月13日
-
【第45回農協人文化賞】きのこが健康けん引確信 営農経済部門・日本きのこマイスター協会理事長 前澤憲雄氏(長野県)2024年8月10日
-
【第45回農協人文化賞】土づくりへのこだわり 営農経済部門 秋田県・JA秋田しんせい前常務 高橋徹氏2024年8月10日
-
シンとんぼ(105) -みどりの食料システム戦略対応 現場はどう動くべきか(15)-2024年8月10日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(22)【防除学習帖】 第261回2024年8月10日
-
土壌診断の基礎知識(31)【今さら聞けない営農情報】第261回2024年8月10日
-
【第45回農協人文化賞】「小さな協同」の実践を目指して 一般文化部門 長野・JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年8月9日
-
【第45回農協人文化賞】「草の根運動」とともに 一般文化部門・JA広島中央会元専務 坂本和博氏2024年8月9日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 香川県2024年8月9日
-
【注意報】果樹カメムシ類急増で被害多発のおそれ 滋賀県2024年8月9日
-
【注意報】ミニトマト、トマトにトマト黄化葉巻病 県中部で多発のおそれ 和歌山県2024年8月9日
-
【注意報】ネギ、ブロッコリー、ダイズにシロイチモジヨトウ 県内全域で多発のおそれ 埼玉県2024年8月9日
-
(396)首都の場所:赤道ギニア共和国【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年8月9日
-
【'24新組合長に聞く】JA碓氷安中(群馬県)戸塚勉組合長 野菜のブランド産地へ (5/31就任)2024年8月9日
-
米の品種や食味などを分析 米品質診断パッケージ、キャンペーンを実施中 サタケ2024年8月9日
-
北海道産赤肉メロンのパフェとかき氷 期間限定で登場 銀座コージーコーナー2024年8月9日