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JA販売事業をいかに強化するか 知恵と戦略の共有

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JA販売事業をいかに強化するか 知恵と戦略の共有
著者
三石誠司 編著
発行所
家の光協会
発行日
2014年1月24日
定価
1944円(税込)
電話
03-3266-9029
評者
仲野隆三 / JA安房理事
 JAは大規模化するなどして総じて経営の安定が図れているが、営農販売事業は取扱額が減少するなどして部門収支の均衡が図れないでいる。その一因はJA独自の営農改革や販売改革が遅々として進んでいないことにある。JAの使命は農産物の販売等を適切に行い組合員の所得を向上させることが、全農や市場まかせの分荷(出荷)から脱皮できず、実需者(消費)の情報把握や販路開拓ができていない。

「自分ならどうする」を考える書

 

 昨今、少子高齢化が進展するなか消費者のライフスタイルは大きく変容しており「食」は簡便性の高い惣菜等のマーケットが急激に拡大している。一方で生産者(JA)と消費者、実需者との距離が近づいている。JAはこれまでのような受託販売だけで生き残ることはできないと考える。JAは「人の組織」であり生産組織の指導やマーケティングなど人材育成と継承が喫緊の課題である。その意味でこの一冊は、多くの事例に自分達の営農販売の取り組みを擬えて学習に活用できる。

◆問題発見力を身につける

 本書の特徴は、全国JAの営農販売事業の最前線で取り組んでいる「知恵」の取り組みを、JA全中が足を使い現場から集めた改革事例をケースメソッドで紹介している。編著者は「知識」や「知恵」はどのようにすれば「共有」ができるか、従来のような学びや研修では最適解だけを求めてきたが、JAによって直面する課題は異なる。いくつもの解決策や可能性があり、求められるのは何かを見つける力「問題発見力」や、顧客や関係者が満足する回答を見つける「問題解決力」、それが駄目な場合には即座に代替え案を提示できる力「臨機応変な対応力」、そして提案した内容を実行して結果を出す力「実行力」が必要だという。 こうした力は基本的には実践で身に付けるものだが、知識の一方的なインプットではなく「自分であればどうしたか」それぞれの場面を疑似体験することで「知恵」と「知識」が共有されと本書の使い方を示している。

◆葛藤と実践 JAの課題

 第一章はJAとマーケティング?独自のマーケティングで販路拡大?について▽JA西都「先駆者の精神」▽JAびえい「こだわりと感性のマーケティングで美瑛野菜の魅力発信」▽JA里浦「里むすめを核とした陸の“うずしお”」▽JA筑前あさくら「ネットワークで地域を盛り上げる」取り組み。第二章はJAと生産組織?生産組織強化による販売力強化?営農指導・生産組織づくりについて▽JA尾鈴「チームプレイで人を育てる」▽JAみっかび「ブランド産地のDNA」▽JA愛知みなみ「(価値の共有)その組織化とサイクル化」の実践。
 第三章はJAグループとその潜在力?JAグループ連携強化による機能発揮?について▽全農茨城県本部VF事業「県域の園芸戦略」▽JAきたそらち「ホクレン・生産者とJA・連合会の連携による北海道米のブランド力の向上」▽JAグループ愛媛「ふれ愛・媛ポーク」―JAグループ愛媛による豚の生産とブランド化―についてJAグループの販売連携の取り組み事例など「知恵」と「戦略」が紹介されている。
 読後、事例に多くの役職員が登場し、葛藤しながら判断や行動を起こしている。自分ならどうするか学ぶ上で多くの考え方に突き当たると推測する。多くの部門でケースメゾットとして自分達のJAに置き換えグループ討議に活用する一冊である。

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