新規就農を支える地域の実践~地域農業を担う人材の育成~
![新規就農を支える地域の実践~地域農業を担う人材の育成~](https://www.jacom.or.jp/bookguide/images/book1405261001.jpg)
- 著者
- 一般社団法人農村金融研究会 編
- 発行所
- 農林統計出版
- 発行日
- 2014年3月20日
- 定価
- 本体1800円+税
- 電話
- 03-3511-0058
- 評者
- 村田武 / 九州大学名誉教授
農林中金総合研究所が2011・12年度に農林金融研究会に委託した「新規就農経営体の課題と金融に関する調査」の報告書が本書である。
新規参入者を支える
先進的支援策を紹介
本書が取り上げる事例は、すべて非農家子弟の新規参入者である。新規就農をめざす人々にとっても有益な情報が豊富に含まれるとともに、県・市町村自治体や農協にとっても新規参入者に対する就農支援が新たな段階に入っており、参考にできる先駆的モデルが存在することを教えてくれる。
第3章「産地維持を目指す農協や農業者グループの新規参入支援」では、農協が有機部会を設立しその中核に新規参入者が存在すること、そして農協が販売面でのサポートに全力をあげる事例に説得力がある。
また、とくに地域農業・地域社会を維持する課題の大きい中山間地域での農村維持と新規就農支援をとりあげた第5章の、長野県の新規就農者に対する3段階の支援体制、すなわち[1]新規就農のための「相談会」、[2]体験のための「アグリターン農業研修」、[3]実践研修としての「新規就農里親制度」や、岡山県の「就農促進トータルサポート事業」は、大いに学ぶべき先駆的モデルであろう。この両県で、臨時とはいえ農協の有給臨時職員として一定の収入が確保できる支援策が共通して準備されていることは注目すべきである。
とくに耕作放棄地と鳥獣害に苦しむ中山間地を抱える自治体や農協の、農村と農業再生計画の策定に本書を大いに役立ててほしい。
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