農薬と食の安全・信頼―Q&Aから農薬と食の安全性を 科学的に考える―

- 著者
- 梅津憲治
- 発行所
- 日本植物防疫協会
- 発行日
- 2014年3月
- 定価
- 本体2800円+税
- 電話
- 03-5980-2183
- 評者
- 酒井 晃 / JA東京むさし指導経済部部長
本書を読み都市農家の栽培環境にとっても非常に有益な教材であると感じた。
正しい知識を得て
コミュニケーションを
地方の大規模農地と、都市環境下の小規模農地では、病害虫防除や除草作業に大きな相違点があると考える。都市農業は少量多品目の作型であるため使用する農薬も多岐にわたり、剤によって希釈倍率もそれぞれ異なることから、隣接する作物に適用外の薬剤が飛散しない努力も必要となる。
また、民家は農地に密接して建ち並んでいることから、散布時間や方法など最大限の配慮と近隣住民の理解を得ることが必要となる。1970年頃までの農薬は毒性も強く人体に与える影響も多かった。誤って吸引、誤飲による事故が頻発した時期があった。農薬が問題視されてきた歴史である。
現在は、このような剤の製造使用は禁止となり、人体に対し安全性の高い農薬が流通している。最近では、摂食活動の停止、脱皮を阻害するIGR剤や天敵微生物などを利用したBT剤、また病害虫の発生予察、防除を目的とする交信撹乱、および大量誘殺にはフェロモン剤などが有効であり、農薬製剤も科学技術の発展で人体に対する安全性も日進月歩である。
しかし、現在に至っても除草のために散布している様子を近隣から怪訝な顔で疑いの目で見られる現状がある。
我々JA職員は、農薬に対する正しい知識と理解を得なければならない。そのうえで、都市農地は住まいに良好な環境をもたらすこと、子供たちが成長するなかで食農教育に大切な役割をはたしていること、有事の際における食料確保の一助になることなど、近隣住民の理解を得ることに努力し、コミュニケーションを図らなければならないと感じている。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(47)【防除学習帖】第286回2025年2月22日
-
農薬の正しい使い方(20)【今さら聞けない営農情報】第286回2025年2月22日
-
全76レシピ『JA全農さんと考えた 地味弁』宝島社から25日発売2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年2月21日
-
農林中金 新理事長に北林氏 4月1日新体制2025年2月21日
-
大分いちご果実品評会・即売会開催 大分県いちご販売強化対策協議会2025年2月21日
-
大分県内の大型量販店で「甘太くんロードショー」開催 JAおおいた2025年2月21日
-
JAいわて平泉産「いちごフェア」を開催 みのるダイニング2025年2月21日
-
JA新いわて産「寒じめほうれんそう」予約受付中 JAタウン「いわて純情セレクト」2025年2月21日
-
「あきたフレッシュ大使」募集中! あきた園芸戦略対策協議会2025年2月21日
-
「eat AKITA プロジェクト」キックオフイベントを開催 JA全農あきた2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付、6月26日付)2025年2月21日
-
農業の構造改革に貢献できる組織に 江藤農相が農中に期待2025年2月21日
-
米の過去最高値 目詰まりの証左 米自体は間違いなくある 江藤農相2025年2月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】有明海漁業の危機~既存漁家の排除ありき2025年2月21日
-
村・町に続く中小都市そして大都市の過疎(?)化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第329回2025年2月21日
-
(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
-
【次期酪肉近論議】畜産部会、飼料自給へ 課題噴出戸数減で経営安定対策も不十分2025年2月21日
-
「消えた米21万トン」どこに フリマへの出品も物議 備蓄米放出で米価は2025年2月21日