アベノミクス農政の行方 農政の基本方針と見直しの論点
![アベノミクス農政の行方 農政の基本方針と見直しの論点](https://www.jacom.or.jp/bookguide/images/book1505140401.jpg)
- 著者
- 編集代表・谷口信和 編集担当・石井圭一
- 発行所
- 農林統計協会
- 発行日
- 2015年3月
- 定価
- 3200円+税
- 評者
- 小池恒男 / 滋賀県立大学名誉教授
本書は対象を「アベノミクス農政」のうち、現場でもっとも関心の高い「農地中間管理機構の創設」、「経営所得安定対策の見直し」、「水田のフル活用と米政策の見直し」の3点に絞り込んで、その「政策立案の経緯や運用上の課題」についてふみ込んで検討を加えている。
現場を視点に鋭く分析考察
第?部「4つの改革の背景と問題点」の第3章「農地中間管理機構創設の意義と問題点(原田純孝)」、第4章「?4つの改革?における米政策の見直し」(小針美和)、第5章「経営所得安定対策の見直し(水田フル活用)と転作」(信岡誠治)、第6章「経営所得安定対策の見直しと麦大豆生産振興」(梅本雅)の4つの章はまさにその課題に真正面から挑んでいる。
これに対して第?部「農業現場の政策対応」の第7章「経営所得安定対策の見直しと北海道畑作」(東山寛)、第8章「震災後の宮城県被災地農業の復興とその政策」(森田明)、第9章「福島県浜通りにおける農業復興」(石井圭一)、第10章「中四国:中山間地帯」(小林元)第11章「大分県における飼料用米生産・利用の動向と政策対応」(中川隆)の5つの章は先の3点を、現場におろして検証している。
やや異色なのは第?部の総論「アベノミクス農政の?全体像?」(谷口信和)、第1章「農政決定のメカニズムの大転換」(野沢聡)、第2章「TPP交渉と日米協議」(服部信司)であるが、それぞれ解題、自民党の農林部会の変質、表裏の関係にあるTPPの本質を暴いていて欠かせない。『農林水産業・地域の活力創造プラン』のアキレスの腱の部分にあたる「四つの改革」のうちの3点に絞り込んでの貴重な突っ込んだ分析と考察の書である。
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