虫への祈り―虫塚・社寺巡礼
- 著者
- 柏田雄三
- 発行所
- 創森社
- 定価
- 2200円(税別)
- 評者
虫塚・寺社探訪のガイド本。昆虫芸術研究家の柏田雄三氏が著した「虫への祈り―虫塚・社寺巡礼」(創森社刊、2200円・税込)が出版。全国各地の虫塚や虫供養塔を巡り、その由緒や歴史をまとめた一冊だ。
日本には針塚や筆塚、橋供養碑や鯨塚、蚕の塚など、身の回りの品々から生きものに至るまで、"森羅万象"を供養する文化がある。同書は、虫の供養に焦点をあて、全国津々浦々にある虫塚、虫供養塔の由緒や歴史などをまとめた。
現地でのインタビューや文献調査を通じて虫塚建立の目的や動機を掘り下げ、人と昆虫のかかわりを文化的側面からとらえる学問ジャンル「文化昆虫学」の研究にも連なる内容となっている。
蚕(群馬県・東京都・京都府等)や蜜蜂(岩手県・千葉県等)に加え、ウンカ(石川県)、ニカメイチュウ(香川県)、カメムシ(福井県)、イネツトムシ(長野県)、アブラムシ(栃木県)、サンカメイチュウ(熊本県)、ミバエ(沖縄県)など農業に関わる虫塚や供養塔も数多く紹介して。また、虫を表した歌碑や句碑、虫の名前を冠した寺社も取り上げており、豊富な写真と所在地・アクセス情報とともに、虫塚・寺社探訪のガイドブックとしても使える。
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