TPPで疲弊するのは農村だけではない2013年5月13日
もしもTPPに加盟すれば、農業が壊滅して、農村が疲弊する。だが、疲弊するのは農村だけではない。都市も疲弊する。都市の人たちにとって、TPP加盟による農村の疲弊は、他人事でない。
TPPは、市場原理主義の極致といっていい。近年、市場原理主義のもとで、農村はどのように疲弊してきたか。そして、都市はどのように疲弊してきたか。政府の統計をみてみよう。
はじめに、上の第1図で県別の所得格差を見ておこう。ここには明らかな格差がある。
東京の都民一人当たりの所得が最大で、最小の高知の1.9倍の大きさである。富裕県は東海道に集中していて、他の県は、おしなべて所得が少ない。
この地域格差は重大な問題だが、ここでは、この格差が長い間つづいていることに注目しよう。
上の第2図は、農村地域と都市地域に分けて、最近14年間の市場原理主義のもとで、格差がどのように推移してきたか、を示した。
この図から分かることは、農村でも都市でも、ともに所得を増減してきたが、その間には大きな格差があって、それが縮小する気配が全くないことである。
そして、最近の2年間をみると、農村でも都市でも同じように所得が減り、同じように疲弊した、ということである。
◇
TPPに加盟すれば、農村はソンになるが、都市はトクになる、という言説がある。だが、この図は、この言説が誤っていることを示している。
農村だけがソンになることはない。農村が困窮すれば都市も困窮する。また、都市だけがトクになることもない。都市が繁栄すれば農村も繁栄する。そのことをこの図は雄弁に物語っている。それが経済の論理である。
だから、ソンやトクを考えるばあい、農村と都市の対立として考えると誤るし、また、農業と商工業の対立として考えても誤る。
そうではない。市場原理主義のもとで、トクをするのは都市の多くの人たちではなく、ごく一部の人である。ソンをするのは農村の人たちだけではなく、都市の人たちを含む99%の大部分の国民である。
◇
TPPに加盟すれば、農業が壊滅することは明らかである。その結果、農村が疲弊する。それと同時に都市も疲弊する。
それは、農村や都市にいる99%の人たちの困窮をもたらす。トクをするのは、都市にいる1%の人だけである。
このことを銘記しなければならない。
「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2024年7月16日
-
【注意報】イネカメムシ 県内全域で多発のおそれ 鳥取県2024年7月16日
-
30年目を迎えたパルシステムの予約登録米【熊野孝文・米マーケット情報】2024年7月16日
-
JA全農、ジェトロ、JFOODOが連携協定 日本産農畜産物の輸出拡大を推進2024年7月16日
-
「雨にも負けず塩にも負けず」環境変動に強いイネを開発 島根大学・赤間一仁教授インタビュー2024年7月16日
-
藤原紀香がMC 新番組「紀香とゆる飲み」YouTubeで配信開始 JAタウン2024年7月16日
-
身の回りの国産大豆商品に注目「国産大豆商品発見コンクール」開催 JA全農2024年7月16日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」鹿児島県で黒酢料理を堪能 JAタウン2024年7月16日
-
【役員人事】ジェイエイフーズおおいた(6月25日付)2024年7月16日
-
【人事異動】ジェイエイフーズおおいた(4月1日付)2024年7月16日
-
日清食品とJA全農「サプライチェーンイノベーション大賞」で優秀賞2024年7月16日
-
自然派Style ミルクの味わいがひろがる「にくきゅうアイスバー」新登場 コープ自然派2024年7月16日
-
熊本県にコメリパワー「山鹿店」28日に新規開店2024年7月16日
-
「いわて農業未来プロジェクト」岩手県産ブランドキャベツ「いわて春みどり」を支援開始2024年7月16日
-
北海道で農業×アルバイト×観光「農WORK(ノウワク)トリップ」開設2024年7月16日
-
水田用除草ロボット「SV01-2025」受注開始 ソルトフラッツ2024年7月16日
-
元気な地域づくりを目指す団体を資金面で応援 助成総額400万円 パルシステム神奈川2024年7月16日
-
環境と未来を学べる体験型イベント 小平と池袋で開催 生活クラブ2024年7月16日
-
ポーランドからの家きん肉等の一時輸入停止を解除 農水省2024年7月16日
-
JAタウンのショップ「ホクレン」北海道産メロンが当たる「野菜BOX」発売2024年7月16日