アベノミクス破綻の指標 銀行株がさえない2013年5月20日
今月初めに国債価格が急落した。
14日には141.18円にまで下がった。3日の最高値の145.22円と比べると2.8%も下落した。その後、回復する気配はない。
国債の総額は、いまや約1000兆円にまでふくらんでいる。だから2.8%の下落は28兆円の下落になる。
消費税にすると14%に相当する。それが僅か11日で動いたことになる。まさに急落である。
借り手の政府は、ほくそ笑んでいるかもしれない。だが、いまでも多い金利負担に喘いでいるのに、今後ますます重い負担がのしかかることになる。
大量の国債を持っているのは銀行である。だから、銀行にとって事態は深刻だ。資産が目減りするからである。そうなれば株価が下がる。危うい国債は全て売った、という銀行もでてきた。インフレ懸念が進めば、資産はさらに目減りして株価が下がる。
「異次元の金融緩和」などとイキがっている時ではない。アベノミクスが破綻し、異次元のインフレになることを懸念せねばならない。
国債価格の下落による銀行の株価の下落を、アベノミクスの破綻の分かりやすい指標として注目しよう。
上の図で見られるように、銀行株がさえない動きになっている。
株価は全体としては上がっているが、銀行株はもたついている。今日も全体の株価は上がったのに、銀行株は低迷している。
それは、市場が銀行のもっている国債の急落による資産の目減りを懸念しているからだろう。1株当たり資産額は、株価を決める重要な要素なのである。インフレ懸念が大きく影響しているだろう。
だから、銀行は早く国債を売って、被害を少なくしようとしているようだ。そこにつけこんで投機マネーが、先物市場で売りを浴びせているのかもしれない。
◇
ことは、銀行だけの問題ではない。
だれが国債を買い取るか。それは日銀しかないだろう。日銀が政府の指示どおりに「輪転機をぐるぐる回して」作ったカネで買うしかないだろう。
そうなれば、¥に対する信頼はますます下がる。¥だけではない。財政赤字の累増など、日本の経済運営に対する信頼も地におちる。それは、とりもなおさずアベノミクスの破綻である。
◇
今後に懸念されるのは、¥安の制御できないほどの進行と、輸入物価の高騰を起因にした悪性インフレである。
その結果、困窮するのは99%の庶民である。インフレのもとで、賃金を上げるどころか、賃金を下げ、正規労働者を非正規労働者に替え、賃金総額を抑制しよう、というのがアベノミクスである。
賃金を抑え、賃金が高いからといって国内での投資を控えるなら、内需が増えるわけがない。アベノミクスは、経済を成長軌道に乗せるどころか、予想より早くその矛盾を露呈しつつある。
(前回 TPPで疲弊するのは農村だけではない)
(前々回 TPPで軽自動車が消える)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
新春特別講演会② 地域のつながり大切に 全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長 湯浅誠さん2025年2月6日
-
米の生産目安「各県で需要動向分析を」山野JA全中会長2025年2月6日
-
【特殊報】マンゴーにリュウガンズキンヨコバイ 農作物で初めて発生を確認 沖縄県2025年2月6日
-
JAいるま野DX事例公開! 受注業務の手入力をAI-OCRに切り換え「38人→4人」の省人化を実現 PFU2025年2月6日
-
飼料用米 地域実態ふまえ政策位置づけを 食農審企画部会2025年2月6日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】米価高騰の議論で見落とされていること2025年2月6日
-
シャインマスカット栽培の課題解決へ「ハウスぶどう防除研究会」岡山で開催 JA全農2025年2月6日
-
かんきつ栽培の課題解決へ「ハウスみかん防除研究会」岡山で開催 JA全農2025年2月6日
-
フルーツ王国ふくしま「ゆうやけベリー・県産いちご」収穫フェア JA東西しらかわ直売所で開催2025年2月6日
-
丸全昭和運輸、シンジェンタジャパン及び三井化学クロップ&ライフソリューションと共同配送に向けた検討を開始2025年2月6日
-
特定外来生物ナガエツルノゲイトウ 水稲移植栽培での除草剤による防除技術を開発2025年2月6日
-
外食市場調査12月度市場規模は3563億円 コロナ禍前比88.2%で2か月連続後退2025年2月6日
-
佐野プレミアム・アウトレットで栃木県産のいちごフェア開催 いちご大使のコリラックマも登場 JA全農とちぎ2025年2月6日
-
豆腐づくりの原点に返った「職人(クラフト)豆腐」新発売 温豆乳を使用する新製法開発 アサヒコ2025年2月6日
-
岐阜、福島、静岡のこだわり"いちご"でパフェやデザート 「資生堂パーラー銀座本店サロン・ド・カフェ」の2月限定メニュー2025年2月6日
-
鳥インフル 米サウスダコタ州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年2月6日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年2月6日
-
トラクタ、コンバイン、乗用全自動野菜移植機を新発売 クボタ2025年2月6日
-
農業・観光・教育の機能備えた再エネ発電所建設へ クラファン第2期開始 生活クラブ2025年2月6日
-
日本最大級「パンのフェス」関西初上陸 大阪で3月開催 出店第1弾発表2025年2月6日