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【コラム・キサクな老話】過疎とニート2013年7月31日

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【佐藤喜作・一般社団法人農協協会会長】

 2013年2月18日の毎日新聞によれば、2011年の未婚者のうち仕事も通学もしなかった人(ニート)が256万人もいて、しかもこれらのなかで社会から孤立している30歳代半ば以上の「孤立無援者」と表現される人が急増し、162万人(63%)を数えるという。

 一方で、田舎は過疎化で限界集落が増え集落消滅を憂いていたところ、かつて花形の新開発ニュータウンの大阪の大都市も高齢者のみとなり、学校や公民館が閉鎖され買い物にも事欠くという状況を見て仰天した。つまり、都市と農村も同じ現象が起きているということだ。

 しかし、その原因は田舎者には容易には理解できない。人口減少に対し政府は少子化対策に躍起になって、政治で人口減を解決しようとしている。現代人は結婚など自由にできるのに、未婚者や非婚者がなぜ増えるのであろうか。かつては「朝まに起きれば嫁取る話、俺どこ騙して稼がせる」と秋田民謡にあるように、早く結婚を男女とも望んだものだった。そして働かざる者食うべからず、でもあった。
 ニート現象は年々増加の傾向で、やがて生活保護により国としても厳しい負担となって財政を圧迫し、果たすべき福祉にも回らなくなるのではなかろうか。これらの人は多く都市に住んでいると思うが、この人たちを農村、とりわけ山間部の空き家(家具付きもある)が取り壊される前に移住させ、自給の農と森林、林野の管理に当たらせ、当面の生活援助資金(とくに夫婦には)を交付すれば、荒れ果てて野生動物の跳梁する国土の管理にも貢献することになり、無駄のない予算の支出になるのではないか。今ならまだ古老が存在し、農山村暮らしのノウハウも伝授してもらえる。

 もちろん法的には複雑な問題も絡んで簡単でないことは想定されるが、「いざ帰りなん、故郷に」である。これを成功させる最大の力は女性の動向が鍵を握るであろう。以前は青年が都市に怒濤のように流れたが、今はその逆にする必要があるように思うがナー。

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