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【コラム・目明き千人】IDACA、50年の実績2013年8月27日

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【原田 康】

 途上国・新興国といわれる国からの農業関係者への研修を実施しているIDACA(アジア農業協同組合振興機関)が今年の7月で50周年となった。

 JICAや農水省等の途上国といわれる国への農業支援は、主として個別のテーマによって食料増産、水稲の生産振興、農産物の流通改善、農村開発など現地にプロジェクトを作り支援を行っているが、各国からの研修者を日本に招いての研修も行っている。途上国の農村の姿は丁度日本の1950、60、70年代と同じで、一方首都は現在の日本の水準である。田舎と都市が50年間の格差のまま同時進行をしている。従って、日本の農業の経験がこれらの途上国の発展段階に合わせてそのまま役に立つ。
 IDACAはJICA、農水省等の委託を受けて1963年から2012年度までに115ヶ国、5869名の研修を実施した。現在も研修を実施中で8月22日から9月21日までの1カ月JICA筑波や高尾にあるIDACAの施設で合宿しての講義と秋田に出掛けての現地研修を行う。
 研修に来ている国は、モンゴル、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、イラク、エチオピア、スーダン、南スーダン、スリランカ、タンザニア、セネガル、シエラ・レオーネ、パラグアイの16カ国、17名である。
 研修員は農業関係の省庁の部長、課長、係長、研究員、農協の幹部で平均年齢が39歳と若い。スリランカ、南スーダン、ミャンマー、モンゴルは女性である。宗教もイスラム、ヒンズー、クリスチャン、プロテスタント、仏教となる。
 世界地図で改めてこれらの国の位置を確かめ現在の政治・経済の状況を見てみると、よくこれだけの国から農業政策の中心となる人を集めたものだと感心する。どの国も過去の歴史と、現在の国際情勢の中でどのようなかじ取りをするか、頭を抱えている姿が見える。
 これらの人たちが合宿をして「農業をどうするか」いう共通のテーマで議論をするのは得難い機会である。研修で学んだことがすぐに成果を上げることにはならないが、自国内でゴタゴタの内戦をしたり、隣同士の国が戦争をしたり、宗教で紛争を起こしていてはダメで国際的なネットワークによる理解と協調の時代となっていることは理解される。日本もアメリカの方ばかり向きながら尖閣や竹島だ、と騒ぐのではなくこのような対話が役に立つ。

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