【コラム・ひとこと】義民殿(ぎみんでん)再建立にひとこと2013年9月11日
多数の農民のために、一身を捧げた指導者を義民という。江戸時代にはこの呼び方はなく、明治になって義人、大正期ごろから義民の呼び名が一般化したと辞典には書いてある。
佐渡島ではこの義民を祭った「義民殿」がある。昭和12年に建てられた神殿風の木造建築物、75年以上経過し、屋根が傾き建物も朽ち果てんとしている。島のほぼ中央に小高い丘があり国仲平野を見下ろせ、眺めよし、トキが飛び立てばそこからなら見つけられる標高200mの城ヶ平という。
その建物の再建運動が今年の夏から秋にかけて盛り上がり、募金活動が佐渡と東京で行われている。江戸時代の約200年間に犠牲になった佐渡一国の義民26人が「義民殿」に祭られている。
金や銀が産出された佐渡は江戸幕府の直轄領地だった。江戸から佐渡奉行所に代官が派遣され、佐渡を統治していた。江戸時代には、百姓一揆がひんぱんに起こった。その時の百姓一揆の原因が、増税問題からだった。江戸幕府は百姓が納める年貢に、定免制という収穫に対する定率法を適用していた。約30年後、幕府は出来高で納めるよう税法を一方的に改変した。百姓には大幅な増税になった。さらに飢饉が来て、その年佐渡島での餓死者が2700人という記録もある。
本間太郎右衛門は、地元佐渡の代官に百姓の困窮を訴えるが聞き入れられないため、江戸幕府へ集団で直訴に出かけた。しかし、幕府は言い分を聞く前に徒党禁止の法に基づき、指導者の本間太郎右衛門だけを死罪にした。
その後、佐渡奉行所は百姓の実情を調査することになった、この時の訴状も残っており太郎右衛門は「義民殿」に祭られることになった。
当時の佐渡住民の9割以上が百姓だった。江戸時代の百姓は基本的には自給自足、自分の家で必要なもの、役に立つものは自分の家で作り、余ったものだけを売るものだった。
現在は売れるものをつくり、自分の家の食べもの、必要なものは外から買っている。それは発展だったのかもしれないが、自分で必要なものは自分の畑で作ろうという考え方もヨーロッパには残る。歴史は繰返すか。
重要な記事
最新の記事
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(1)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(2)2025年9月18日
-
【座談会・どうするJAの担い手づくり】JA鳥取中央会・栗原隆政会長、JAみえきた・生川秀治組合長(3)2025年9月18日
-
【JA全農の若い力】家畜衛生研究所(3)病気や環境幅広く クリニック西日本分室 小川哲郎さん2025年9月18日
-
【全中・経営ビジョンセミナー】伝統産業「熊野筆」と広島県信用組合に学ぶ 協同組織と地域金融機関の連携2025年9月18日
-
【石破首相退陣に思う】米増産は評価 国のテコ入れで農業守れ 参政党代表 神谷宗幣参議院議員2025年9月18日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】協同組合は生産者と消費者と国民全体を守る~農協人は原点に立ち返って踏ん張ろう2025年9月18日
-
「ひとめぼれ」3万1000円に 全農みやぎが追加払い オファーに応え集荷するため2025年9月18日
-
アケビの皮・間引き野菜・オカヒジキ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第356回2025年9月18日
-
石川佳純の卓球教室「47都道府県サンクスツアー」三重県で開催 JA全農2025年9月18日
-
秋の交通安全キャンペーンを開始 FANTASTICS 八木勇征さん主演の新CM放映 特設サイトも公開 JA共済連2025年9月18日
-
西郷倉庫で25年産米入庫始まる JA鶴岡2025年9月18日
-
「いざ土づくり!美味しい富山を届けよう!」秋の土づくり運動を推進 富山県JAグループ2025年9月18日
-
日本初・民間主導の再突入衛星「あおば」打ち上げ事業を支援 JA三井リース2025年9月18日
-
ドトールコーヒー監修アイスバー「ドトール キャラメルカフェラテ」新発売 協同乳業2025年9月18日
-
「らくのうプチマルシェ」28日に新宿で開催 全酪連2025年9月18日
-
埼玉県「スマート農業技術実演・展示会」参加者を募集2025年9月18日
-
「AGRI WEEK in F VILLAGE 2025」に協賛 食と農業を学ぶ秋の祭典 クボタ2025年9月18日
-
農家向け生成AI活用支援サービス「農業AI顧問」提供開始 農情人2025年9月18日
-
段ボール、堆肥、苗で不耕起栽培「ノーディグ菜園」を普及 日本ノーディグ協会2025年9月18日