農協に捨てるべき既得権はない2013年10月15日
農協は、既得権にしがみついている、という言説がある。これは、既得権を捨てよ、という主張につながる。さらに、既得権を剥奪せよ、という激しい主張になる。
この主張は、農協の既得権は農業の発展に寄与していない、それどころか障害になっている、だから剥奪せよ、という。
だが、それは違う。農協は、そのような既得権は持っていない。
既得権を、既に獲得した権利、とすなおに解釈すれば、農協には既得権がある。それは、経済的弱者が協同して経済的強者の横暴に対抗する、という正義に基づく当然の権利である。
だから、それを捨てよ、という主張は強者の不正義の主張である。強者の意向を汲んだ論者の主張である。
剥奪せよ、と居丈高にいうのは、強者が弱者を無権利の状態にしておきたいからである。
だが、そうはいかない。
◇
近代国家では、全ての国が協同組合を法認している。協同組合の権利を国家が擁護している。だから、農協の権利を剥奪せよという主張は、前近代国家に戻れという時代錯誤の主張になる。
この権利は、天から与えられたものでもないし、権力者からの恩恵でもない。農協の先人たちが、強者との緊張関係のなかで、長い歴史を経て勝ち取った弱者の権利である。これを、むざむざと捨てるわけにはいかない。
◇
権利の主なものは、農協が協同して農産物を売り、肥料などの生産資材を協同して買う権利である。
こうしたことを強者が行うと、独禁法違反になる。だが、弱者のばあいは、法律で認められている。
政治はこうした農協活動を支援しているし、そのために、金融活動の支援や税法上の優遇をおこなっている。こうした権利も捨てるわけにはいかない。
これらの権利を捨てよ、という主張は農協活動の否定である。
◇
農協を否定することは、誰の利益になるか。
それは、経済的強者である大資本の利益である。農協がなくなれば、大資本は思うままに横暴なふるまいができる。抵抗勢力がなくなるからである。
否定論者の口ぐせは、農協の既得権を剥奪して、大資本の企業と同じ条件で競争せよ、という。つまり、弱者も強者と同じ条件で競争せよ、という主張でなる。それはジャングルの世界である。優勝劣敗の原理がはびこる世界である。
今後、こうした反正義が政府の規制改革会議などで、あの手この手を使って、声高に主張されるだろう。断固として排除し、弱者の権利を守らねばならない。農協は、そのためにある。
(前回 「高米価」の要求は農業者のエゴではない)
(前々回 農協への不当な批判に反論する)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日