飼料米増産の本気度2013年12月16日
農水省の来年度予算の概算要求額が決まった。
だが、米政策の部分は確定しないで、昨年どおりの要求をした。
減反補助金の固定部分を半額にして、飼料米補助金を増やし、飼料米生産の拡大して、主食米の生産を抑制するというのだが、そのための予算が、まだ確定していない。
これでは、どれほど本気になって、飼料米生産を拡大しよう、というのか分からない。
もしも、減反補助金を減らした分だけの予算を使って、飼料米を増産する、と考えているなら、それは新しい米政策の看板倒れというしかない。
計算して考えよう。
昨年の減反補助金の固定部分は10アール当たり1.5万円で、予算額は1613億円だった。これを半分に減らすことになっている。だから、予算額は半分になって、残りの半分の807億円だけ余る。
この余りを使って、この余りだけで、飼料米の増産をするというのだろうか。どうなるか計算してみよう。
◇
飼料米増産のための補助金は、10アール当たり10.5万円と決まっている。1ha当たりでは105万円である。
だから、増産面積は807億円割る105万円の7.7万haでしかない。米の作付面積は165万haだから、その4.7%に過ぎない。収穫量もこの割合で増えることになるが、この程度増えることは、作柄しだいで、それほど珍しいことではない。
言い換えれば、この程度の政策の変更は、天候の変動の程度のものである。大上段に構えて政策変更などと言えるものではない。
◇
政府は、米政策の歴史的な転換といいたいようだが、それなら、減反奨励金の余りだけで飼料米を増産する、などと考えるのではなく、そのための抜本的な予算の充実を計らねばならない。
そうでなければ、看板倒れといわれても、しかたがない。目先の変わった猫の目農政、と言われてもしかたがない。農村が混乱して迷惑するだけである。
(前回 新しい米政策が目指す競争力強化は小農切捨て)
(前々回 新しい米政策は米価下落と窮迫販売を招く)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(130)-改正食料・農業・農村基本法(16)-2025年2月22日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(47)【防除学習帖】第286回2025年2月22日
-
農薬の正しい使い方(20)【今さら聞けない営農情報】第286回2025年2月22日
-
全76レシピ『JA全農さんと考えた 地味弁』宝島社から25日発売2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付)2025年2月21日
-
農林中金 新理事長に北林氏 4月1日新体制2025年2月21日
-
大分いちご果実品評会・即売会開催 大分県いちご販売強化対策協議会2025年2月21日
-
大分県内の大型量販店で「甘太くんロードショー」開催 JAおおいた2025年2月21日
-
JAいわて平泉産「いちごフェア」を開催 みのるダイニング2025年2月21日
-
JA新いわて産「寒じめほうれんそう」予約受付中 JAタウン「いわて純情セレクト」2025年2月21日
-
「あきたフレッシュ大使」募集中! あきた園芸戦略対策協議会2025年2月21日
-
「eat AKITA プロジェクト」キックオフイベントを開催 JA全農あきた2025年2月21日
-
【人事異動】農林中央金庫(4月1日付、6月26日付)2025年2月21日
-
農業の構造改革に貢献できる組織に 江藤農相が農中に期待2025年2月21日
-
米の過去最高値 目詰まりの証左 米自体は間違いなくある 江藤農相2025年2月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】有明海漁業の危機~既存漁家の排除ありき2025年2月21日
-
村・町に続く中小都市そして大都市の過疎(?)化【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第329回2025年2月21日
-
(423)訪日外国人の行動とコメ【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年2月21日
-
【次期酪肉近論議】畜産部会、飼料自給へ 課題噴出戸数減で経営安定対策も不十分2025年2月21日
-
「消えた米21万トン」どこに フリマへの出品も物議 備蓄米放出で米価は2025年2月21日