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安倍首相が減反廃止の無責任演説2014年1月27日

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 安倍晋三首相が、24日の国会での施政方針演説で、減反廃止を宣言した。
 その2日前に、首相はダボス会議でも減反廃止の演説をした。国内での演説と違って、気がゆるんだのか、思わず本音をいってしまったようだ。
 首相は、減反の責任を捨てて、国家の最重要な責任である食糧の安定供給の責任を放棄しようとしている。この発言に対して、与党の中でも困惑が広がっている。

 2つの演説をみてみよう。資料は本文の下の通りで、以下、引用部分は斜体の文字にした。
 はじめに、国会での演説をみよう。

 四十年以上続いてきたコメの生産調整を見直します。いわゆる「減反」を廃止します。需要のある作物を振興し、農地のフル活用を図ります。

 つぎに、ダボス会議での演説をみよう。

 コメの減反を廃止します。民間企業が障壁なく農業に参入し、作りたい作物を、需給の人為的コントロール抜きに作れる時代がやってきます。

 安定供給の責任を忘れて、水田の作付けを自由にし、減反を強制しない、といいたいのだろう。

 減反は、いまでも、すでに強制していない。選択制になっている。強制ではなくて、戸別所得補償制度のもとで、減反を選択した農家に対して生産費を補償する、という手厚い支援のもとでの選択制減反になっている。そうして、主食である米の安定供給を図っている。
 問題の焦点は、この制度を続けて、政府が減反に責任を負うか、負わないか、主食である米の安定供給に責任を負うか、負わないかである。

 政府は、今年から補償金を半額に減らした。つまり、責任の半分を捨てた。4年後には、全部捨てたい、と考えている。
 だが、今後の4年間は、激変緩和のための期間ではない。4年後に全廃するかどうか、現場の実態をみながら判断するための期間でなければならない。その間に、4年後を待たずに、全額を復活するという政治判断もある。民主党が政権を奪還すれば、そうするだろう。
 民主党と自民党との間の、農政の重大な対立点が鮮明になった。

 国会では、減反にカッコをつけて「減反」としている。しかも、その上にいわゆるをつけていわゆる「減反」を廃止しますといっている。これは、慎重な言いまわしではあるが、政府が減反の責任を放棄する、という宣言である。
 ダボス会議では、単刀直入に減反を廃止しますといっている。それに続けて人為的コントロール抜きといっている。
 ここでいう人為的コントロールとは、政府の介入、つまり、政府の支援を意味しているのだろう。だから、人為的コントロール抜きとは、政府が減反に対する一切の支援を止め、減反の責任を放棄する、という意味である。主食である米の安定供給の責任を放棄する、という意味である。

 減反を廃止すれば、政府の支援がなくなるから、米の作付けが増え、供給量が過剰になることは明らかだ。
 首相は、需要のある作物を振興する、といっている。飼料米の振興で過剰をなくす、というのだろう。だが、それで主食米の過剰が解消されるか。
 政府は、飼料米には450万トンの需要がある、といっている。この需要をみたすには、水田の全部を使っても足りない。以前に水田だった土地を複田して米を作ることになる。そして、収穫した米の3分の2を人が食べ、3分の1を家畜が食べることになる。
 こうした水田農業の将来像を見通した需要のある作物を振興する政策を持って、政府は、主食米の安定供給に責任を負わねばならない。それを持っていない減反廃止だから無責任というしかない。


国会での施政方針演説はコチラから


ダボス会議での演説はコチラから


(前回 米価下落の対策を急げ

(前々回 食文化異論

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