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【コラム・ひとこと】世代交代にひとこと2014年3月19日

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【金右衛門】

 3月帰郷した折、農家を継いだ友人のひとりが、今年から田んぼは他人に預けることにしたという。おいしい米を作る篤農家として有名だったのに70代半ばで農業を引退する。

 車を運転し近所の世話役もし、趣味で俳句や川柳も詠む。未だ体力と知力はあり、1町歩程度の稲作の農作業はできるはず。しかも、同居する息子たちがいるではないか。
 彼らに農作業を教えて家を継がせないのか?と聞くと、2人の息子達はそれぞれ自分の仕事で忙しい。しかも、現代農業は、農業機械の操作、肥料・農薬の選択、散布時期の判定、作物栽培の知識等中途半端な気持ちでは農家になれない。息子達には農業の知識がない。すぐ農作業をやれといっても出来ない。農家を継ぐというと、今付き合い中の彼女が賛成するかどうかも疑問だとか。
 友人本人は、兼業農家だったから昔勤めていた企業年金で老後の暮らしには心配ないともいう。もう一軒、先祖代々続いた農家も耕作をJA経由他人に任せる決断をした。農機具など1千万円以上した機械類は安値でJAに引き取ってもらった。この家にも、都会でサラリーマンとして働く息子がいる。定年後なら帰農の可能性はあるが家族も一緒に帰って農業を継ぐかどうか疑わしい。都会の生活に慣れた嫁さんが亭主について田舎へ来ない確率の方が高い。この農家は80歳。退任も仕方ないだろう。
 このようにして農村は離農者が増え、空き家が目立ってくる。農業協同組合新聞2月25日号に「相続・事業継続支援対策トップセミナー」の記事を読んだ。新潟の一地域だけの現象ではなく全国的に世代交代が進んで問題点も浮き彫りになってきている。JAの仲介により農地を農地として引き継ぐことができれば、経営的には規模拡大で効率が良くなり日本の食糧生産はとりあえず維持してゆける。相続相談の業務に力を注ぐJAがあるのは心強い。
 しかし、農家数の減少は地域を支える人口減少を招き、地域社会の崩壊につながる。国土保全の意味でも重大な政治課題のような気がする。TPPで農産物を輸入に頼るムードが農家の気持ちを萎縮させているのかもしれない。いずれ若い後継者が農業を引き継いでくれると思うからこそ老骨に鞭打ち先祖の土地を営々と耕してきた高齢の農家も多い。日本農業にロマンが持てなくなると将来が心配になってくる。多面的機能を持つ農業に、政府や国民による物心両面の支援が必要になって来たと思う。

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