【コラム・消費者の目】五感で味わってますか?2014年7月10日
農産物直売所に立ち寄るとメロンやスイカが目を引く季節になりました。
私は特にスイカに目が無いのですが、妻からはカットスイカ以外は買わないようにきつく言われているので、いつも指をくわえて見ているしかありません。5kgを超えるような大玉スイカとなると、いくらスイカ好きの私でも一度に4分の1食べるのがやっと。欲望に負けて買おうものなら、我が家の小ぶりな冷蔵庫はスイカで溢れてしまい、生ごみも増えます。カットスイカで我慢するしかありません。
子供のころ、夏になると八百屋だった叔父の家に遊びに行くのが楽しみでした。叔父はスイカをコツコツとたたいて甘いのを選び出し、業務用の大型冷蔵庫でキンキンに冷やしてくれました。
大きな包丁をスッと入れると、パリパリという音とともに、スイカは自ら二つに割れて、赤い果肉が顔を出すのです。スイカ好きにはたまらない瞬間です。翌朝、食卓にはスイカの皮の漬物が並んでいました。夏らしいさっぱりとした味。スイカだけでなく、モノを無駄にしない時代でした。
◇
カットスイカは本当に便利です。一口サイズに切ってあるので食べやすいし、食べ終わっても生ごみも出ません。糖度の確認もできるので甘いスイカにありつけます。
その代り、赤い果実と緑の皮のコントラストや、包丁を入れた時のサックっという手ごたえなど、五感で楽しむことはできなくなりました。便利と引き換えに大切なものを失っているような気がしてなりません。
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