【コラム・目明き千人】株式会社なら自然災害も防げる!?2014年9月24日
今年は7、8月の猛暑、台風に続いた集中豪雨で収穫中や収穫直前の野菜、果実、水稲に大きな被害が出ている。一年かけて丹精を込めて育て、さあ収穫だと準備をしていた矢先に果樹の落果、畑や水田が冠水した姿を見る農家の無念さが伝わってくる。
農家は、このような気候、立地、風土の中で長年の経験で品種、栽培技術を工夫し、それでも個々の農家の努力ではどうしようもない課題には協同組合を作って対処し、農業経営を続けている。それでも自然の災害による収入減には生活費を切り詰め、さらに間に合わないときは出稼ぎに行ってでも農業を続けている。
アベノミクスの第3の矢は農業の大規模化、株式会社による経営で最新鋭のIT技術を駆使し近代的な経営により6次産業化、輸出で国際競争力を持った産業にする政策である。
このような会社は、農地の取得、農機、施設への投資の借り入れ、給料、収穫から販売までのコスト、運転資金とカネがかかる。会社が利益を出すためには毎年豊作で、高値で売れないと大赤字となる。
最新鋭の技術を動員しても会社の農場の上だけ台風の進路を変更、降雨量の調節など気候を変えることはできないので、1区画20haの圃場を東京ドームのような屋根で覆うことになる。雨が降ってもスケジュール通りの試合が出来る手法を農業にも適用する。
このような施設をつくれば建設などの波及効果も出て、シンクタンクが早速“経済効果”を予測して経済成長に寄与しGDPを何パーセントか押し上げる効果が出る、となる。農業がこのような産業になれば銀行、証券など金融機関の投資対象となる。成長戦略だ。
農業は、収穫が最も早い野菜でも3ヶ月、コメは1年、果樹は一番早い桃・栗でも3年はかかる。従って最短でも3~5年、腰を落ち着けるには10年かかる。株式会社の経営は新規の投資は3年以内に単年度黒字、累積赤字も5年以内の黒字化を求められる。
株式会社の大規模農業経営とは、赤字になったら買い取った広い農地を「不動産化」すればおつりがくる、という計算なら結構な新規投資である。
この利益で輸入業務を拡大できる。
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