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米価下落でほくそ笑む人たち2014年10月6日

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【森島 賢】

 米の仮払金が、各地で引き下げられた。先行きの米価下落が予想されるからである。
 農業者は困惑しているが、その陰で、にんまりと、ほくそ笑んでいる人たちがいる。米価の引き下げを主張している一部の評論家と、それに惑わされている政府と一部の政治家である。その背後に、極端な自由貿易を主張する財界がある。
 米価は下がったのではなく、彼らが下げたのである。彼らは、米価を下げ、農業者を追い出し、農外資本で米を作り、コストを下げて、国際競争に立ち向かう、という。そうすれば、TPPなどの自由貿易体制に耐えられる、と考えている。そして、この考えを、ひた隠しにかくしている。
 しかし、そんなことが出来る筈がない。農協に結集している農業者は、追い出されるほど非力ではないし、資本では米作りはできない。

 政府は、本気で米価回復を考えてはいない。だから、米価下落の本当の原因を言わない。何と言っているか。
 需要側の原因は、人口の減少と1人当たり需要量が減り続けているからだ、という。消費者に原因がある、というわけだ。だから、しかたがない、と思わせたい。政治に責任はない、と思いこませたいのだろう。
 しかし、これは以前から分かっていたことで、想定外のことではない。これを想定した適切な政策で、米価下落を避けなかったことに原因がある。

 供給側の原因は、過剰作付けだ、という。過剰に作付けした生産者に責任がある、という。だから、農業者の困窮は自業自得だ、といいたいようだ。政治に責任はない、といいたいのだろう。
 しかし、そうではない。
 そのように仕向けた政治が原因である。減反の助成金を半分に減らしたことが原因である。4年後にはゼロにすることも決めてしまった。つまり、政府は減反に関わらないという。そうなれば、自分1人だけで減反する、などという人はいなくなる。供給過剰になることは明らかだ。
 政府は米価を回復するどこか、過剰状態を作り出し、米価の、さらなる下落を期待している。そうして、米を国際競争に曝す、という究極の目的を果たそうとしている。だから、米価下落による農業者の苦悩をみながら、密かにほくそ笑んでいる。
 この陰謀は、たえず監視しつづけ、執拗に暴露しなければならない。

 こうした政策を続けるかぎり、米価の下落は今後も続くだろう。農村は荒廃へ向かって、つき進むだろう。
 これを断つには、米を国際競争に任せる、という政治を止めるしかない。そうすれば、米価は回復する。
 その上で、全力を傾けて米の飼料化を中心に据えた米政策を展開すべきである。
 米を飼料にした肉だから高い価格で売ろう、などというのではなく、米を飼料にした肉だから価格が安い、しかも100%国産だから安全で旨い、という触れ込みで売れるような政策を、力強く展開すべきである。飼料米には、無限といっていいほどの需要がある。
 それは、農業再生の切り札になるし、食糧自給率の飛躍的な向上による食糧安保の決め手になる。
 この政策に転換すれば、希望に燃えた若者が農村に集まり、中・高齢者といっしょになって米の増産に励み、農村にかつての賑わいをとり戻すだろう。
 米作農家に国際競争を強要する政治は止めよ。米の飼料化に総力を傾注せよ。

 

(前回 TPPは悪政の根源

(前々回 市場原理主義派が描く地獄絵

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