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【コラム・「棚田の風景」にひとこと】残そう、日本の資産として2014年10月24日

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【金右衛門】

 ふるさと再発見の旅。
 久しぶりに田舎の実家に里帰りするのは、地方の観光振興にもなる。首都圏佐渡連合会の観光部会が毎年1回里帰りキャンペーンを実施している。

 Aコースとして、一泊はホテル、二泊目は実家か友人宅に泊まる。Bコースは二泊ともホテルを取る。生家があっても世代替わりしており、若い甥の家庭には迷惑をかけたくないという人もいる。ふるさとに関係ない元同僚を連れて旅に参加するのも歓迎。

◇   ◇

 この旅行に69人が参加した。今年のテーマは「棚田めぐり」。佐渡には6つの棚田がある。地域の名前で「岩首」「片野尾」「猿八」「北片辺」「月布施」そして「小倉千枚田」。それぞれに歴史と現実がある。
 小倉千枚田は、江戸時代の人口増による食料不足時に開墾された。水を下から上に流す佐渡金山で行われていた水上輪(すいじょうりん)の技術を取り入れ急勾配の棚田にも給水した。
 現在は耕作放棄の田んぼもあるが、棚田オーナー制度を取り入れ、復活の気配である。

◇   ◇

 岩首集落の棚田は、江戸時代に開墾され、現在も集落住民により耕作が続けられている。棚田は収穫量は限られるが、寒暖の差が大きくお米の味がよくなり、高い値段で売れる。
 岩首の棚田は標高450mで続く。下から見上げると昇竜の如く里山の間を抜けて開けている。落葉広葉樹に囲まれ、天日干しのはぜがある。棚田の数は大小460枚。抜けるような青空と海を見下ろせる畦道に立つと絶景である。江戸時代のままの農村原風景が広がる。
 地すべり等自然災害防止になる棚田は農業の多面的機能の象徴でもある。平成28年には佐渡市で「全国棚田(千枚田)サミット」が開催される。棚田は日本の資産として残さなければならない。

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