【コラム・ここがカンジん】求められる自立したJA2015年3月6日
「整促7原則」とは、戦後の農協の経営危機を救った有名な半世紀前のJAの運営原則であり、(1)予約注文、(2)無条件委託販売、(3)系統全利用、(4)計画取引、(5)共同計算、(6)実費主義、(7)現金決済がその内容である。この整促7原則は、原始的協同組合運営原則とも言えるもので、今も農協運営に隠然たる影響を与え続けている。
◆整促7原則
この原則は、国際的な取り決めである「協同組合原則」などよりははるかに強い影響を我々に与えてきた。
これほど重要な整促7原則について、系統内での現代的な評価は必ずしも明らかではない。整促7原則について全面否定の断を下したのは、ほかならぬ農水省である。整促7原則は、(1)リスク意識のない経営感覚の蔓延、(2)高コストでも系統から漫然と購入、(3)同じ経済事業でも全農は黒字で単協は赤字、(4)担い手の農協離れを招いているという。省内の2005年の「経済改革チーム」で検討されたものだから、もう10年も前のことだ。今回の「規制改革会議」の名を借りた農水省のJA解体の基本認識はここにあり、根底には原始的な協同組合運営の全否定がある。
◇ ◇
こうした状況の中で、われわれに求められているのは自立JAの確立である。それは4つの経営姿勢からの脱却であろう。(1)安易な組合員依存体質からの脱却、(2)安易な総合経営依存体質(総合経営とは名ばかりの事業縦割り事業推進)からの脱却、(3)連合組織依存体質からの脱却、(4)行政依存からの脱却である。それは、真に組合員のニーズに立脚した総合JAの優位性を生かした経営の確立を意味する。JA主体のPDCAの確立、リスクをとる経営姿勢への転換である。
◇ ◇
とくに農業振興・担い手の育成については、農家の自主性に任せるばかりでなく、JA自ら農業経営に取り組み、ノウハウの蓄積や地域マネージメント能力を身につけていく必要があるのではないか。6次化などの販売努力は言うまでもない。
また、協同組合原則との関連でいえば、第4原則の「自主・自立」の姿勢が重要だ。政治姿勢は、政党との等距離姿勢が必要で、与党一辺倒の硬直的な対応は時に大きなダメージを蒙ることになる。
◇ ◇
さらに政治力の発揮については、安易に中央中心の政治折衝に頼ることは慎むべきであり、それが利益集団(interest group)の行動と映ってしまってはかえってマイナスとさえなる。農政運動の基本は幅広い地域から中央に攻め上る政治勢力の結集をはかっていくことが重要であり、JA運動は、常に広く国民的理解を得たものでなければならず、内向きの運動はJAを孤立させ成功しない。
◇ ◇
今回のJA批判でも、自己改革は基本であるが、何が争点になっているのかを広く組合員・ステークホルダーに訴え、自らの主張の理解を求めていくこと重要である。そもそも、争点が不明確では運動にならない。
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