農協の県別政治力2015年3月16日
統一地方選挙が、1か月後に迫った。農協の主張を政治に反映させる好機がやってきた。
ここ1年間ちかく続く、激しい農協攻撃は、TPP反対など、農協の政治要求の運動を抑え込むことに、その目的がある。そのために、農協運動の司令部である県中と全中に、攻撃を集中してきた。
だが、攻撃を受けているからといって、黙っているわけにはいかない。農協の政治力を、いまこそ県中と全中に結集して、反撃する好機である。
農業は、したがって農業者は、いま苦境にある。米価は、最近も下がり続けている。若い酪農家は、将来の肉価格や乳価の下落を予想して、脱農しはじめた。
苦境に陥った原因は、農協にある、という。全中が単協を縛りつけ、単協が農業者の自由を奪っているからだ、という。そうした農協の改革が遅れているからだ、という。苦悩の原因を農協に、なすり付けようとしている。
こうした主張は見当ちがいも甚だしい。そんな事実はない。だが、こうしたウソをマスコミが繰り返し報道すると、町の人たちは信じ込んでしまうようだ。マスコミの背後には、財界とアメリカの影が見え隠れする。反TPPの農協つぶしの意図が、透けて見える。
◇
農業者の苦境の原因は、近年の市場原理主義農政にある。
米需給の一切を市場で野放しにし、米価を下げて、米農家の後継者不足をもたらした。
日豪FTAで関税を下げ、低価格の輸入肉を市場に氾濫させて、牛肉経営や酪農経営が成り立たないようにしている。
その上、TPPで日本農業が崩壊しても止むをえない、と考えている。こうした政治に原因がある。
◇
いまの農政は、根元が腐っている。根元を隠して、枝葉を目立たせようとしている。
農産物を輸出し、農業を6次産業化して、所得を10年で2倍にするという。
こうした幻想を振りまいて、米価や肉価格の下落に、農業の崩壊に、国民の目をふさいでいる。
◇
こうした政治家は、政治の世界から退場させねばならぬ。それだけの力を、農協は持っている。
下の図は、農協の政治力を県別に表した地図である。
この図は、各県の農協組合員家庭の20歳以上の人数を、その県の20歳以上の人数で割り算した割合を、色分けして、地図にしたものである。
緑色の県は、その割合、つまり農協の政治力が大きい県で、赤色は小さい県である。
◇
農村県は緑色で、都市県は赤色である。ここで注目したいのは、そのことではない。
政治力が10%以下は東京しかない。20%以下は埼玉、千葉、神奈川と大阪、京都しかない。大部分の県は30%以上である。50%以上の県も少なくない。注目したいのは、このことである。
30%の政治力があれば、政治を動かすことは、充分に可能だ。多くの政党の地方支部が弱体化しているなかで、30%の力は強い。
だが、実際に動かすには、組合員が心を合わせて、政治力を結集することである。その結節点に、県中と全中がある。バラバラでは力にならない。
今週の20日には、全中のもとに全国の県中会長や組合長などが500人集まって、TPP反対の集会を開く。ここで、農協の意志を政治家に伝える。
農協の声に耳をかさない政治家は、次の選挙で苦戦するだろう。
◇
激しい農協攻撃の嵐、わけても全中つぶしに立ち向かうには、こうした運動を強化するしかない。
農協の自己改革というなら、運動の中枢部である全中の強化を、改革の主要な目的に据えることである。そうして農協と農業・農村を根元から再生することである。
日本の再生は、地方の再生から始まるだろう。再生の波は、やがて町を包囲し、全国を蘇えらすだろう。
(前回 協同組合は格差を根絶する)
(前々回 林新農水相の正念場)
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