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【コラム・ここがカンジん】農協法改正の骨格が明らかに2015年4月2日

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【福間莞爾 / 総合JA研究会主宰】

 通常国会に提案されるJA改革関連法案の内容が明らかになった。(1)JA全中の一般社団法人化、(2)農協に対する公認会計士監査の義務づけ、(3)都道府県中央会の連合会化、(4)全農の株式会社への組織変更規定、(5)農協の理事の過半を認定農業者や農産物販売等のプロとするなどの内容である。平成26年6月に閣議決定された政府の「規制改革実施計画」に盛り込まれた内容の具体化である。

◆水戸黄門の印籠

 これらの内容は、今後国会審議に付されるが、多少の修正はあるにしても、法案として成立していくのは確実である。今回の法改正の際立った特徴は、これまでJAグループの総本山といわれたJA全中の解体である。
 今回の法改正は、総合JAの解体(リストラ)にとって最も効果的なJA全中の力を削ぐのに全力が傾注されたのであり、政府の意図は見事なまでに貫徹された。
 とくに調整の最終段階で、政府から全中解体と准組合員事業利用規制のどちらかを選択するいわれなき決断を迫られ、あえなく前者を受けざるを得ない状況に追い込まれた。それにしてもJAグループの司令塔といわれた全中が、かくも簡単に解体されるとは誰しも想定できなかったことだ。その期間は1年を要することもなかった。こうした経過を見れば、全中は農協法で規定された政府の政策遂行の代行機関に過ぎない存在であったとさえ思えるほどだ。
 こうした法改正の動きに対して全中は、依然として自らつくった自己改革方策に基づいて改革を進めるとしている。しかし、この自己改革方策はもともと中央会の自己保身的性格の強いもので、特に全中は従前どおり農協法上(73条)に位置づけられることが前提になっている。
 そして何よりも農水省がJAを農業専門的運営組織につくり変えようとしているのに対して、JAは従前どおり地域組合としての性格を前面に打ち出しており、両者の立場はまったくかみ合っていない。このことを考えれば、自己改革は一からの出直しが求められている。
 全中は農協法の附則に総合調整・代表機能を持つ一般社団法人とすることができたし、監査機能は外出しされたにすぎず、従前とあまり変わらないなどというのんきな議論もあるが、事態は全く変わったと認識すべきは当然だ。中央会制度のもとで県中・全中が一体となって法律の後ろ盾(農水省という水戸黄門の印籠)をもって仕事ができる保証は今やどこにもない。
 その困難さは、JA合併やコメの生産調整などの主要施策が農水省の後ろ盾をもって初めて可能であったことを考えれば明らかである。
 これから全中が総合調整・代表機能を果たすといってもそれは実力次第ということになる。いま全中をはじめとして、JA運動の大転換への意識改革こそが求められている。

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