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【リレー談話室・JAの現場から】農村に住む誇りを2015年5月14日

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【高山 拓郎(長野県・JA松本ハイランド専務)】

 物心ついたころから「家の光」「地上」はいつもと違う世界があるようなワクワク感を自分に与えてくれていた。今もわが家には毎月届く。小学何年だったか、家でどんな新聞を取っているか持って来いといわれ、何の迷いもなく「日本農業新聞」を持っていったが、珍しがられ揶揄された思いを忘れることはない。

 さて、東日本大震災で私たちは、地域社会がどんなに変貌を遂げようと「絆」こそが、何よりも大切なものであると改めて確信を持った。「絆」は農業協同組合が長い間大切にしてきたものであり、地域のど真ん中にある組織として、組合員の願いを実現するために行動するJAの背骨だ。

 組織が肥大化し、ともすれば、一片の紙を通じて何かが伝わったはずと思い込んでいるふしがある。伝えることは手段で、目的は「人が動くこと」にある。伝えるだけでは伝わらないことを肝に命ずべきである。私たちは、好むと好まざるとにかかわらず大きな渦の中にいる。組合員の多様な思いを実現するため、何が必要か原点に立ち返って考えなければならない。

 一つの円がある。その中心にさまざまな大きさの円がある。これが協同の仲間。組合員も職員もみな同心円の中。組合員の「願い」はさまざま。人の心を動かすためには、自分自身への思いやり以上に相手に思いやりをそそぐことしかない。そして、いろんな声に耳を傾け学ぶ。そのために素直さと積極性が必要。無理難題もある。でも、「何とかしましょう」と笑顔でこたえられる自分がいたら最高。やるべきこと、やりたいこと、できることがそろえば仕事は面白い。

 サービスの質を決めるのは組合員。組合員は何がベストか知っている。最後の一瞬まで感動を届け、それを大きなエネルギーに変え、組合員の期待を超えるサービスを提供したい。組合員を動かすには心を使うしかない。そのためにも人づくりに手を抜くことは許されない。考え方を変える、行動を変える、そして結果を変えるためにも教育活動の促進こそ最優先でなければならない。

 柳田國男は、「美しい村などはじめからあったわけではない。美しく生きようとする村人がいて村は美しくなった」と書いている。どこかの誰かが、ありもしない対立軸をわざわざ持ち出してきて攻撃してきているが、「農村とはそこに住むことが誇りに思える場所」であることに自信を持ち日々を大切に生きたい。組合員の期待を超える仕事をみんなの力で成し遂げたいと思う日々である。

 安易な認識のもとに「農協改革」が唱えられている。実際に現場で、汗を流している人の声が届いているのだろうか。このコラムでは全国のJAの役員や幹部職員の登場していただく。

※高山氏の「高」の字は正式には旧字体です。

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