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【コラム・ここがカンジん】JAの将来像を大会で2015年7月8日

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【福間莞爾 / 総合JA研究会主宰】

 JA改革の内容を盛り込んだ農協法の改正案が国会に提出され、審議が行われている。だが、議論は低調で、月内にも衆院を通過する。こうした結果は、これまでJAが進めてきた〝JA解体阻止〟の取り組みを反映したものであり、当然の結果でもある。

◆国会審議と今後の展開

 周知のように2月8日の政府与党・団体側との最終調整の局面で、政府から極め付きの、(1)准組合員の事業利用規制か、(2)中央会制度の廃止かの〝王手飛車取り〟の手を打たれ、全中会長は後者を選択せざるを得ず万事休した。
 ここにおいて、今国会における中央会制度の廃止という農協法改正の骨格は事実上決定されてしまった。審議入りを前に民主党は対案となる農協法改正案を衆院に提出し、その中で、「地域で果たす農協の役割」を農協法上に明定すべきと主張した。この主張は全中が策定したJAグループの「自己改革方策」におけるJAの主張と軌を一にしている。
 今国会における農協法改正の最大の争点は、JAが果たす役割として、農水省は農業振興のみだと主張。これに対してJAの主張は農業振興+地域振興であり、地域におけるJAの役割の重要性は、民主党だけでなく自民党はじめ多くの議員の賛同を得られるものであった。だが上記のように、JAグループは運動の司令塔(全中)を直撃されたため、国会論争をそうした方向に導くことはできなかった。
 今秋にはJA全国大会が予定されているが、その準備はできているのであろうか。昨年11月に全中が策定した「自己改革方策」は政府によって全面否定され、運動展開も閉ざされた自民党対応一辺倒のもので、組合員やJAに開かれたものにすることができず失敗に終わった。
 新しい全中会長のもとで、JAグループは運動を再構築しなければならないが、そのためには、これまでの運動の総括と反省に基づいた「新たなJAビジョンの確立」が不可欠である。一部には、法改正でJAが大きく変わることはない、行政側の担当者が代われば、いずれJA改革はうやむやのうちに終わるという根拠のない楽観論を口にする人もいるが、このような認識は将来の事態を大きく見誤ることになる。
 今回のJA改革は、総体として准組合員が正組合員の数を上回るという構造的問題を内包しており、JAは戦後始まって以来の大きな組織的危機に直面していると認識すべきである。それは、農協法改正後の課題が、(1)准組合員の利用規制、(2)信用・共済事業の組織再編の二つであることに象徴されており、ここから導き出される答えはJAからの信用・共済事業の分離であり、このことこそJA改革の本丸である。
 これまでJAは、実質的に「地域農協」として運動を進めてきたが、今回の議論を通じて農水省の職能組合論を論破できていないことが明らかとなった。JAは農水省が言うような農業振興だけのために存在する組織か、われわれが主張するように農業振興のためにも地域全体を底上げする組織か、理論的にも実践的にも職能組合論を論破できる「JAビジョン」を徹底した組合員討議のうえで確立していく必要がある。
 JA全国大会は開催することが目的ではない。将来ビジョンを討議できる原案ができるまで大会の開催を待つことに躊躇があってはならない。

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