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【コラム・森田実の政治評論】安保法制は日本を永久に従米国にする 考え直すなら今。明日では遅すぎる2015年7月8日

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【森田実 / 政治評論家・東日本国際大学客員教授】

 安保法制をめぐる議論が高まってきています。憲法違反か否かが議論の中心になっています。これは当然のことです。政府が憲法解釈を勝手に変えて、変えた解釈で違憲でないとするようなことは、正しい生き方とは言えないのです。どうして正々堂々と憲法改正の手続きをとらないのか、という議論が起こるのは、日本社会の健全性を物語るものです。

「本当に重大な機会は人生にはめったに訪れない」 (シラー)

◆憲法論争―高村副総裁見解は錯覚?!

 自由民主党の高村副総裁は、1959年12月の砂川最高裁判決を集団的自衛権合憲の根拠にしていますが、砂川事件に関与した関係者の一人として言えば、高村副総裁の見解は見当違いです。ひどい錯覚です。
 1959年12月の最高裁判決は、1959年3月の砂川第一審(伊達)判決を否定するために行われた判決です。第一審判決は、1951年の日米安保条約を違憲とした判決でした。最高裁判決が問題にしたのは日米安保条約が違憲か否かということでした。最高裁判決は日米安保条約と憲法との関係を論じたのです。集団的自衛権の問題は判決の対象にはなってはいませんでした。議論すらされていません。どう考えても高村副総裁の論理には無理があります。こんな杜撰な論理で日本国民の未来を決めようとするのはやめるべきです。


◆ポツダム宣言消滅は米国の狙い

 今回の安保法制の本質を知るために、一つの重要な発言と一つの重要な文書に注目したいと思います。一つは日米首脳会談に関するものです。2015年4月の日米首脳会談に関するアーミテージ元米国務副長官発言です。4月28日のNHK「nw9」でアーミテージ氏はこう言っています。
《(安倍首相の訪米は)アメリカ人を守るため、自衛隊の命を懸けるという宣誓なのだ》
 これは重大発言です。日本の自衛隊は日本国民を守ることを任務としています。それが「アメリカ人を守るため命を懸けることを誓った」というのです。自衛隊の大転換です。2015年4月の日米首脳会談によって、日本はいままでの専守防衛主義を超えたのです。
 もう一つは、次世代の党の和田政宗議員の「ポツダム宣言とサンフランシスコ平和条約についての政府の認識に関する質問主意書」に対して政府は、「サンフランシスコ講和条約によってポツダム宣言の効果はそこで消滅した」と回答したのです。重要なのは「ポツダム宣言の効果は消滅した」との政府答弁です。これも重大な問題を孕んでいます。
 ポツダム宣言のなかには、いまだに実行されていない条項があります。連合国が将来の日本の独立を保障した条項です。12項です。引用します。
《十二 前記諸目的ガ達成セラレ且日本國國民ノ自由ニ表明セル意思ニ從ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府ガ樹立セラルルニ於テハ聯合國ノ占領軍ハ直ニ日本國ヨリ撤収セラルベシ》
 これは占領軍の日本に対する公約であり、義務です。日本に平和・民主の責任ある政府ができたら占領軍は撤退しなけばならないのです。占領軍とは米軍のことです。占領軍が撤退するというのは米軍基地撤去も含んでいます。日本が独立を回復することです。
 ポツダム宣言が消滅するということは、日本を独立させるという米国政府の公約・責務の消滅を意味します。言い換えれば、米軍の軍事基地は撤去しなくてもよいことになります。米国は沖縄を含む日本を永久に支配しようと狙ってきました。戦後70年、米国が狙っていたのは日本を永久に支配することでした。安倍内閣は、この米国政府の野望を認め、受け入れたのです。これは日本が永久に従米国になることを意味します。
 じつを言えば、米国政府は、米軍が唯一の日本占領軍になってから、ポツダム宣言を消そうと努めてきました。米国政府は沖縄だけでなく日本をも手放そうとしませんでした。米軍は戦後70年間一貫して日本と沖縄の軍事基地を維持し拡張しようとしてきたのです。


◆安保法制整備は米国の日本支配の永遠化?!

 安保法制の整備が行われれば、日本の自衛隊は米軍の一部になります。TPPを含めて考えれば、日本政府は米国政府の下請け機関化します。日本は永遠に米国の下請けにされてしまうおそれ大なのです。これにTPPが加わります。TPPでの米国の狙いは経済面で日本を支配することです。日本は本当に重大な時を迎えました。

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