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【リレー談話室・JAの現場から】今こそ成すべき時2015年7月31日

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【坂本 一郎 / 東京・JA東京むさし常務理事】

 農協改革。この言葉をいったい何度耳にしてきただろうか。農業者不在の改革であり、その疑問や言われなき批判は、私も同様の思いである。しかし、後戻りはできない。では何をすべきか。
 難題ではあるがJAの新たな取り組みへの挑戦であり、自分自身への挑戦とも言える。

 JAの自己改革とは、その地域の特色を最大限に生かした環境づくりにJAが自ら参画し、JAとしての役割をいかに発揮することができるかである。地域に無くてはならないJAの存在意義、言い換えれば必要とされるJAとはなにか、自分に置き換えれば、役員のひとりとして新たな発想をどのように実現できるか。
 頭の中はまだ不透明なところがあり具体的とまではいかないが、その姿はぼんやりと見え隠れしている。自分を育ててくれたJAや組合員への恩返しの時、それがまさに今である。

◇  ◆

 ここでは現在実施している策を、より発展させたいとの思いを綴ることにする。「農」という貴重な財産と資源を活用した金融商品「収穫体験付定期積金」のさらなる充実。この商品の発売は6年前に遡る。定期積金の契約者にじゃがいもを収穫してもらうのである。近年ではブルーベリーの収穫体験へと変わり、農を身近に感じてもらう農業者と消費者との絆づくりであり、JAの事業間の連携と総合事業能力の見せ所である。また、食と農の商品開発も急務である。
 つぎに次代を担うリーダーづくりである。当JAでは、組合員教育文化事業として「組合員大学」を平成21年に開校した。男女共同参画の時代であり、あえて共学の道を選んだ。組合活動の主役は組合員である。その組合員が農業協同組合を正しく理解していなければ、協同組合運動の本質も正しく理解することはできない。
 協同組合運動でよく言われる「教育から始まり教育で終わる。教育なくして運動なし」このことを強く実感したのである。現在75名の卒業生がJAの役員や団体の長として活躍している。今後、JAと組合員との架け橋としての期待は増すばかりである。
 組合員のみならず役職員の意識改革と人材育成、いわゆる「人づくり」への取り組み強化に思いが募る。特に農業後継者の団体である青壮年部への支援活動は最重点項目と位置付けている。

◇   ◆ 

 最後に都市型JA共通の課題である准組合員の利用制限について述べたい。5年後に再検討とはいうものの、早急に手を打たなければならない。最悪のケースを想定したシミュレーションをしてはみたが、その結果に驚愕した。
 正組合員の7倍にものぼる准組合員へのサービスとは何か。准組合員はJAに何をしてほしいのか。それを「農」とどう結びつけるのか。今やJAの単なる応援団利用者ではない。一歩先を見据えた強力な仲間として位置づける必要がある。新たな発想による企画力が勝負の時、今こそ成すべき時なのだ。

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