【コラム・目明き千人】スマホを持った金次郎2015年8月26日
戦後70年、総理大臣談話も出した。ここらで支持率を上げるために話題を作るように、との安倍総理の指示を受けて文部科学省が道徳教育の教材用に新しい二宮金次郎の像を募集したところ、信託銀行、証券、株の業界が共同して作った金次郎像が入選した。
新しい金次郎は、左手にスマホを持ち右手の指で画面をはじいている。頭にはヘッドホンをつけ、背中には株式、投資信託、ジュニアNISAの参考書とPCである。小学生の時代から小遣いだけではなく将来の資産形成についても株で儲ける勉強を始める。ジュニアNISAで株を材料にマネーゲームに参入する。
昭和20年8月15日までの二宮金次郎は日本中の小学校の校門のところに立って、"芝刈り、縄ない、ワラジを作り、親の手を助け弟を世話し"と額に汗をして働く手本であった。
戦後も70年になり、GDPもアメリカ、中国に次いで世界で第三位の豊かな国なので、時代に合った生き方が求められる。コンピューターの最新の技術を駆使し、24時間どこかの国で行われている株の取引を分析して、素人でも、年齢に関係なく世界規模のマネーゲームに参加をする。額に汗をかいて働くのではなく、頭と指先で稼ぐ。
世の中の出来事は株価が上がるのにプラスかマイナスか で評価をする。額に汗をして働くことも、株価にプラスとなるかどうかで判断する。
日銀の総裁の談話はもとより、アメリカのFRBの専務理事の発言だけではなく、アメリカの雇用統計の一桁の上がり下がりに一喜一憂である。
世界のどこかで戦闘行為が行われるのも、株価がいくら上がるかである。原発、集団的自衛権、雇用促進、農業・農協の改革等の内政から、TPP、EU、中東、アジアの中国、韓国、などとの関係も皆同じだ。武器輸出の解禁は大ヒットだ、早速潜水艦の注文が来た。
アベノミクスの3本の矢は大歓迎で、もっと太い強烈な矢を5本にせよ、の世論となる。
10年後には、日本のハーバード・ビジネス・スクールと言われる「金次郎ビジネス・スクール」が財界や、金融業界、卒業生の寄付で日本の最高学府の評価を得て世界の途上国の優秀な若者が押し寄せる。門の前で金次郎の銅像が出迎える。
◎ジュニアNISA: 未成年を対象とした小額投資非課税制度。0~19才を対象に年間80万円までの株式、投資信託の売却益、配当が5年間にわたって非課税。2016年1月から始まる。
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