【コラム・森田実の政治評論】歴史の流れに逆らう米国政府と安倍政権2015年9月30日
日本国憲法の三大特徴は①国民主権、②平和主義、③基本的人権の尊重です。1947(昭和22)年5月3日にこの憲法が発効したとき、私は中学3年生でした。日本国憲法を暗唱するほど何回も読み、この意味を繰り返し学習しました。日本国憲法のすべての条文は、私の頭脳だけでなく魂の中に刻み込まれています。なかでも憲法第9条を守ることは、私の人生の目標になりました。あれから68年間、私は日本国憲法第9条の次の条文を否定したり変えてしまおうとする動きに反対する立場をとり続けてきました。
「窮すれば則ち変じ、変ずれば則ち通ず」(『易経』)
◆憲法9条否定は歴史的大愚行
《日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。》
安倍政権は、憲法第96条に従って憲法を改正することなく、政府の解釈を変えるという卑劣な方法で日本国憲法第9条を否定しました。これは重大な違法行為です。法を守ることによって社会の秩序は保たれています。法を変えるには法の規定に従って行わなければなりません。にもかかわらず、安倍内閣は内閣の憲法解釈の変更によって、第9条を否定したのです。これは歴史上最も卑劣な愚行です。法は守るべきです。
◆21世紀の世界は共存共栄の追及
21世紀に入り世界の歴史は根本的な変化を起こしています。人類はこの歴史の大きな流れに平和的に対応しなければなりません。歴史の根底的な流れに逆らってはなりません。
21世紀に入ってからの世界は大きく変わり始めました。第一次大戦後から今日までの約100年間、世界を政治的、経済的、軍事的にリードし、支配してきた米国政府の力が衰え、米国単独では世界を支配する力を失いつつあるのです。この米国の衰退から生ずる空白を埋めるかのように、中国の力が急速に上昇してきました。米国の時代から米国・中国2国併存時代へ世界史は動き出しているのです。その先にあるのは中国を中心とするユーラシア大国連合の時代だ、と私は予想しています。
いま大切なことは、米国と中国の共存共栄時代を築き、世界平和を守ることです。
この歴史の流れを米国政府が妨害し始めました。米国政府は中国を敵視し、米国政府の従属国である日本の安倍政権を利用して、中国に政治、経済、軍事の面で戦争を仕掛けようとしているのです。この米国の中国封じ込め戦略に利用されようとしているのが反中国軍国主義者の安倍首相と自民党です。そしてその第一歩がTPPによる経済面での中国包囲網の形成です。しかし、TPPによる中国孤立化政策は、主として米国内部の混乱によって困難にぶつかっています。さらに中国は、西欧の指導国となったドイツと連携することによって、日米軍事同盟の中国封じ込め策動に対抗しようとしています。
政治面、軍事面での動きの中心が、安倍政権の日本国憲法第9条の否定による新安保法制の制定です。これは、中国側からは中国への軍事的攻撃の準備と受けとられています。これによって日本政府は自ら米国政府の忠実な従属国になりました。
安倍内閣による新安保法制は、日米両国による軍事的対中国包囲網の形成です。東アジアは日米軍事同盟対中国人民軍の軍事的対峙の時代が始まりました。日本の自衛隊は米軍の下請け軍隊と化したのです。いつ熱い戦争が起こるかわからない、危うい状況が生まれました。
日米両国政府は大きな歴史の流れを理解しなければなりません。いま必要なのは米中日3国の平和共存体制の確立です。戦争だけは阻止しなければなりません。
◆アジアの平和のためになすべきこと
安倍首相は日本をどうしようとしているのでしょうか。私には、安倍首相にとって最も大切なのは、日本国民ではなく、米国政府なのではないか、と思えてなりません。
安倍首相に、米国政府から「中国と戦争せよ」と命令されたらやりかねない危うさを感じているのは、私だけでしょうか? 安倍首相には、自らの政権を1日でも長引かせるために米国政府に盲従し続けるおそれがある、と私は心配しています。
いま日本国民がなすべきことは、平和を守るため、安倍政治を否定することだと思います。安倍政権の暴走をこれ以上許すことは、日本国民の安全を危うくするだけでなく中国国民の安全をも危うくすることです。安倍政治の否定こそが、これから日本国民がなすべきことだと思います。安倍政権が暴力的に安保法制を制定したあとの日本国民の課題は、安倍政治そのものの否定です。安倍政治のこれ以上の暴走を止めることです。
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