【地方から東京にひとこと】政治の目標を農村復興に2015年10月7日
釜めしで有名な群馬県「横川駅」はJR信越本線の終点だ。そこから旧中山道を散策する一日ウォーキングに参加した。明治時代には軽井沢に抜けるヒスイ峠の急勾配は、ドイツ人技師によるアプト式レールの上を汽車は駆け上っていた。それが昭和の高度成長期を経て、北越新幹線が開通し、平行する在来線の横川―軽井沢間は平成9年に廃止された。
さらに高速道路が山間をぬって関東から日本海側へ貫通している。遡る江戸時代は、この辺り京都から江戸へ通ずる交通の要所として賑わった。横川の隣の坂本は旅人が一休みする宿場町として繁盛していた。皇女和宮も泊まった。句会が盛んで俳人小林一茶の定宿だったという旅館もそのまま残っている。
しかし、平成の今日、昼間、街中はほとんどシャッターが下りて人の気配がない。偶々行き会った60代の地元の男性は、この辺り8軒の集落が4軒は空き家です。その4軒も年寄りだけで若い人はいません。高台の小学校は5年前に閉鎖され、そのまま放置されている。雨が降って水の溜まったプールでは、猿の群れが夏のある日に水浴びしていましたよという。イノシシも出るらしい。孤島でもなく東京から2時間で行ける美しい山合の地域なのにこの状態である。
首相などの大物政治家が大勢選出されている群馬県なのに、過疎で、ゴーストタウンを生んでいる。開発優先の政治が続いて農山村の県民・村民・地域住民は置き去りにされたようだ。しかし、地方から東京を目指して若者が出てゆく現象はいまだに続いている。東京は土地が狭い。多くが高層マンションに住む。大都市としての東京は歴史が浅いが、大都会ロンドンの数百年の歴史が示す怖い例がある。高層マンションの家、土を踏まない空中に育つ人間が3世代続けば、その子孫は骨に原因不明の異常が現れたという。それだけ、土や森や自然環境は人の生活には欠かせない。長期の政治目標は経済オンリーでなく地方再生、農村復興だろう。リュックを背負って歩けば日本は広い。
重要な記事
最新の記事
-
【人事異動】JA全農(2025年1月1日付)2024年11月21日
-
【地域を診る】調査なくして政策なし 統計数字の落とし穴 京都橘大学教授 岡田知弘氏2024年11月21日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】国家戦略の欠如2024年11月21日
-
加藤一二三さんの詰め将棋連載がギネス世界記録に認定 『家の光』に65年62日掲載2024年11月21日
-
地域の活性化で「酪農危機」突破を 全農酪農経営体験発表会2024年11月21日
-
全農いわて 24年産米仮渡金(JA概算金)、追加支払い2000円 「販売環境好転、生産者に還元」2024年11月21日
-
鳥インフル ポーランドからの家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
鳥インフル カナダからの生きた家きん、家きん肉等の輸入を一時停止 農水省2024年11月21日
-
JAあつぎとJAいちかわが連携協定 都市近郊農協同士 特産物販売や人的交流でタッグ2024年11月21日
-
どぶろくから酒、ビールへ【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第317回2024年11月21日
-
JA三井ストラテジックパートナーズが営業開始 パートナー戦略を加速 JA三井リース2024年11月21日
-
【役員人事】協友アグリ(1月29日付)2024年11月21日
-
畜産から生まれる電気 発電所からリアルタイム配信 パルシステム東京2024年11月21日
-
積寒地でもスニーカーの歩きやすさ 防寒ブーツ「モントレ MB-799」発売 アキレス2024年11月21日
-
滋賀県「女性農業者学びのミニ講座」刈払機の使い方とメンテナンスを伝授 農機具王2024年11月21日
-
オーガニック日本茶を増やす「Ochanowa」有機JAS認証を取得 マイファーム2024年11月21日
-
11月29日「いい肉を当てよう 近江牛ガチャ」初開催 ここ滋賀2024年11月21日
-
「紅まどんな」解禁 愛媛県産かんきつ3品種「紅コレクション」各地でコラボ開始2024年11月21日
-
ベトナム南部における販売協力 トーモク2024年11月21日
-
有機EL発光材料の量産体制構築へ Kyuluxと資本業務提携契約を締結 日本曹達2024年11月21日