【コラム・消費者の目】褒めて叱ってあとは任せる2015年11月2日
ひょんなことから60の手習いならぬ50の手習いで乗馬を始めました。20数年前、一度挑戦したことがあったのですが、乗馬クラブの場所があまりに家から遠かったのと、娘が生まれたばかりで金銭的な余裕もなかったことからあきらめました。娘の就職を機に再挑戦してみようという気持ちで乗馬クラブを覗いてみたのでした。
いざ始めてみるとすっかり馬の魅力に虜になってしまいました。大きな体に似合わず気がやさしく、水や食べ物をねだるなど人間に甘えるしぐさがかわいい。しかし、私にとって馬の最大の魅力は人の意思を理解するところです。よく調教された馬は人間の合図で歩いたり走ったり方向を変えるのですが、これがなかなか難しい。合図が上手く出せないことに加え、馬上で身体が安定せず馬の動きを邪魔してしまうのです。
鞍の上にしっかり座れるようになると、馬は背中で大きく揺れる荷物に邪魔されることなく合図に集中できるようになります。もう一つ大切なことは、馬が上手にできたときは褒め、わがままをいう時には叱ることです。馬をやる気にすると乗り手の合図に敏感に反応してくれます。結果として自分の意思が馬に伝わり、思い通りに動くという好循環が生まれます。
馬は本当に正直です。上手な乗り手がまたがると見違えるような動きをします。これは組織の中での上司と部下の関係に置き換えることができます。部下が動いてくれないのは、上司が部下をその気にさせていないか、あるいは邪魔をしているせいではないでしょうか。褒めて叱って、あとは任せて邪魔しない。言葉で言うのは簡単ですが、つい手を出しすぎたり無関心になりすぎたりしてしまうのは私だけでしょうか。
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