【コラム・目明き千人】農地への増税の前にやることがある2015年11月17日
農林水産・総務の両省は耕作をしていない農地の固定資産税を1.8倍に引き上げる検討に入った。但し、農地中間管理機構・農地バンクに貸した農地は軽減する。やる気のある農家に農地が渡らない現状の改善策である(日経新聞11月11日)。
農地バンクが出来て初年度の14年度の利用実績は目標面積14万9000haの2割程度であるという。政府は今後の10年間で全農地の8割を大規模農家に集約する計画である。
現在の農村にはいろいろな事情で耕作面積を減らしたい人がたくさんいる。一方で、借りたい人、法人もたくさんいる。税金を上げて農地を炙り出そうというのはいかにも姑息である。
農地バンクはその名前のとおり「中間の管理」をするお役所仕事で、貸し手は二の足を踏まざるを得ない。農地の貸し借りの斡旋をするのであれば、農地とは何か、の知識を持つことがまず必要である。畑も水田も同じ地域のものであってもこれまでどのような作物を作り、管理をしてきたかで性質が異なる。また借り手がどのような使い方をするのかも重要な要素である。契約期間終了後(10年が単位)に返す時に元通りに出来るか、である。
借り手は大規模化して効率を上げるためには畦畔を取っ払って機械化による作業の効率を図るように大きな区画に改造する。期限が来ても経営が上手くいっていればそのまま続けるので、返すという場合は赤字ということが想定される。赤字の個人なり法人が土地を元に戻すということは無理であろう。農地バンクは以上のような農地の基礎的な知識、期限が来た時に責任を持って元通りにする、ことを約束することが最低の要件である。農地バンクにはこのようなことが出来る経営者とスタッフがいるか、である。「農地中間管理機構」は公的な機関として都道府県ごとに設立をされている。農家が財産を預けることに責任を持った運営が出来ているか。借り手がその農地を有効に活用が出来る様に指導が出来るか。このことを検証せずに固定資産税を上げて農地を集めようとしても無理であろう。
TPPは"守りの農業から攻めの農業へ、輸出中心の国際競争力を持った産業"への転換のチャンスである。が固定資産税の引き上げで促進される、結構なお話である。
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