【コラム・消費者の目】オリンピックと農産物2016年1月29日
今年はオリンピックイヤー。リオ五輪が開催される年です。しかし、テレビや新聞で報じられるのは、2020年の東京五輪の話題が圧倒的に多い気がします。一度は決まりかけたエンブレムの白紙撤回や開会式の会場にも使われる新国立競技場をめぐるごたごたは記憶に新しいところです。そんな中、今度は選手村で使う食材のGAP認証問題が取りざたされています。
2012年のロンドン五輪では、農産品の国際認証「グローバルGAP」が調達基準として採用され、この認証を受けた農場で生産された農作物を選手村で使う食材として調達したそうです。GAP(Good Agriculture Practice)は、農産物生産における安全管理の基準と手続きを定めたプロトコルで、2020年の東京五輪でもグローバルGAPが調達基準として採用されそうだということです。しかし、この認証を取得している日本国内の農場は200か所にも満たず(2014年)、選手村で必要な量を国内で確保することは難しいというのです。
グローバルGAPは、小売業者が販売する農産物の安全性に自ら責任を持つために、EUREP(欧州小売業者農産物作業グループ)によって1997年に策定されました。食べる人の安全(食品安全)だけでなく 、作る人の安全(労働安全)や地球環境の安全(環境保全)にも気が配られています。設立当初はユーレップ(EUREP)GAPと呼ばれていましたが、参加会員が世界に広がり、グローバルGAPと改称しました。
2020年の東京五輪に向けて案内表示が多言語化され、英語やスペイン語で話す自動販売機が開発されるなど、ソフト面でのグローバル化が検討されています。グローバルGAPもそんなソフト面でのグローバル化の一つかもしれません。これをきっかけに認証を取得する生産者が増えれば、日本からの農作物輸出の選択肢が広がります。飛躍しすぎかもしれませんが、2020年東京五輪が日本の農業の成長期の幕開けになることを願ってやみません。
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