【コラム・消費者の目】人口知能と気合2016年4月5日
グーグル・ディープマインド社が開発したアルファ碁という人工知能が世界トップクラスのプロ棋士に勝ちました。コンピューターによるチェス、将棋、囲碁の研究は20世紀半ばにスタート。1997年にはチェスで当時の世界王者を、2013年には将棋でプロ棋士らを破っています。この時は、1回の対局で考えられるすべての手を計算する手法が多く採られたと言われています。いかにもコンピューターらしいアプローチです。
碁盤には縦横に19本の線が引いてあり、その交点は19×19=361あります。初めて囲碁の手ほどきを受けたとき、その盤面のあまりの広さに宇宙空間に放り出されたような感覚に襲われたのを覚えています。チェスの64マス、将棋の81マスと比べて囲碁の局面数はけた違いに多く、囲碁でコンピューターが人間を破るのは早くても10年先と言われていましたので、今回のニュースは衝撃的でした。
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アルファ碁は過去の対局記録を読み込んで次の一手をどう打てばいいかを学習し、アルファ碁同士の対局で新たな手を編み出すそうですから、かなり人間の学習方法に近いと思われます。一説では日本棋院の院生はプロ棋士になるまでに10トン車1台分の碁石を置いて学習するそうですが、アルファ碁は約16万対局記録を学習したそうです。学習効率ではコンピューターに分がありそうです。
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しかし、囲碁には勝負における理外の理というものがあると昭和の名棋士、坂田栄男氏は著書の中で語っています。それを「気合」と表現していますが、「もとよりその気合というものの中にも法則性を見出してこれを解明するのが私ども専門家の責務ではありますが、」と続きます。果たしてアルファ碁は「気合」の法則性を解明できたのでしょうか。
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