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【コラム・目明き千人】有識者はホルスタインと話をしてください2016年4月15日

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【原田 康】

 規制改革会議が生乳の流通から農協を外す提言をしている。有識者の皆さんは、永田町で事務局の用意した資料を見ながらご自分の経験で酪農問題を話すのも結構ですが現場を見てからの方がよろしいのでは。乳牛は人の話を理解出来るので有識者の皆さんは乳牛に意見を聞いてみたら如何ですか。

 牛乳、バター、チーズなどの小売段階では85%以上がスーパーなどの量販店である。売り場を見ると安売りの目玉商品である。牛乳はペットボトルの水よりも安く売られている。
 小売りのマージンが20~30%でメーカーのコストがかかる。利益を出すためのしわ寄せは原料の生乳になる。農家は毎日搾乳をしてその日のうちに出荷をしなくてはならない。安いからとストックをして高いところを探すことは出来ない。直売所で消費者に搾りたてを販売しようとしても殺菌をしなければ販売出来ない。酪農家が一番弱い立場である。
 提言では、補助金は直接農家に出せるようにすると言っている。補助金の交付の申請を農家がするとして、受付の窓口は何処か、その役所にチェック機能があるのか。更に交付を受けたとして3年後くらいに会計検査が来る。補助金の交付申請から入金まで要綱・要領に沿った書類の全部の保管が必要である。膨大な書類となる。補助金は税金である。不備があれば返還命令となる。このような書類を整備して事務、経理処理を農家の委託を受けてやるところがなければ補助金は出せないこととなる。自由競争に協同組合は邪魔だ、退席せよということである。
 さらに、牛肉も高価なものは和牛の肉であるが、一般の庶民が食べているのは乳牛の雄仔牛を短期に肥育したものである。現在も各国からの輸入肉と競合をしている。牛乳もバターもチーズもTPPで輸入品が安くなるので消費者には朗報と宣伝している。
 乳幼児にとって必需品の粉ミルクも全部輸入品となる。お隣のアジアの国のお母さんが子供に飲ませるためにわざわざ日本産の粉ミルクを買いに来てくれたのをもうお忘れか。
 農協を外すことの是非を乳牛と話をして、乳牛が賛成なら鼻を近づけてきて尻尾を振る。反対ならば角を突き付けてくる。さて、どのようになりますか。

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