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不都合な未来図 国民世論でとどめを2016年4月22日

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【岡阿彌 靖正(元全農役員)】

 安倍内閣は、メディアの世論調査によれば、支持率40%台をキープしている。なぜそうなるのか不思議でならない。この内閣のやったことは、円安にしてさらに国民の年金の財源を使って株価を上げただけで、いいことは何もやっていない。国民の未来に不安材料をいっぱい背負わせている。国民はこのことに気づいていないのだろうか。

 日銀の異次元金融緩和、物価を2年目で2%引き上げるといった名目ではじめたが、物価は需要不足でさっぱり上がらない。むしろ国債を毎年80兆円買って、国債を買い支えしている姿に見える。
 日銀は日本の国債の3割を保有し、最大の保有者になっている。すでに国債保有の限界説がささやかれ、いずれアメリカのように、国債を買うのをやめ、金利の上げ下げで景気を調節する正常な金融政策に戻さなければ、市場経済はうまく機能しない。
 日銀が国債を買うのをやめると、国債価格は下がり金利は上がる。国の利払いは増え緊縮財政を取らざるを得ない。国民生活は我慢を強いられる。そこで税源の確保が重要になる。消費税増税に頼ったが不況が長引き失敗した。
 そんな危ない橋を渡っているのに、法人税の減税などやる余裕があるのか。たっぷり儲かっている企業や資産を膨らましている富裕層の増税が先決ではないのか。先の見通しのない話だ。
 例えばTPP。聖域は守ったというが、7年後日本の農産物だけ関税引き下げの再協議を約束させられている。いずれ関税がなくなるまで続くのだろう。日本の未来を売り渡している。以前の影響試算では、約3兆円のメリットが出るが、農水産物では約3兆円マイナスになるとしていた。
 今回これをご破算にして農水産物のデメリットは2000億程度、メリットは努力すれば13兆円になるという。マイナスになりそうなものはできるだけ絞って少なく見せ、メリットは期待値も含めて大きく見せる。こんなごまかしを前提に協定の是非を国民に議論させようとしている。当面のしのぎだけで将来どうなるかを語らない。日本の未来がかかっているのに、こんなに軽い見識でいいのか。政治の質が問われる。
 例えば安保法制、憲法違反の声に耳も貸さず、昨年9月の国会で強行採決した。しかしいまだに国民の8割は、説明不十分と思っているままだ。首相は十分説明しますと、当時言っていたが、今では知らん顔だ。アメリカに付き合って自衛隊を海外に派遣し、対テロ戦争に動員される。軍事費は膨らむ、その財源は?財政のどこを削るのか?国民がテロの標的にされる危険が高まることはないのか?日本を攻撃していない国ともアメリカに付き合って交戦して日本が攻撃される口実を与えることにならないか?安保法制の先にどのような未来が来るのか?。安倍内閣はそこを語りたがらない。国民は疑問のままだ。
 原発の再稼動でも使用済み核燃料の処分をどうするのか、費用はどのくらいかかるのか、何の見通しもない。いずれ行き詰る。未来のない話だ。
 「保育園落ちた、日本死ね!」「どうすんだよ私活躍できねーじゃねーか」という主婦のブログ。未来を奪われた主婦の嘆き。これは主婦に限ったことではない。農家もTPPで未来を奪われる。ブラック企業やブラックバイトは若者の未来を奪っている。最近、安倍首相が言い出した「自民党憲法草案」が描くものが日本の将来だとすれば、今抱えている不都合な未来図を、国家が国民に有無を言わせず統制して呑ませる社会にするということだろう。それは独裁であり民主主義の死滅だ。
 いま、野党が市民の声に押されて安保法制廃止、立憲主義の回復を旗印に、参議院選挙の選挙協力を進めている。国民の世論では、アベノミクスも安保法制も、原発再稼動も「評価しない」が多数だ。国民はこれらの実現のための受け皿を求めている。参議院選挙だけでなく衆議院選挙も含め、この受け皿ができるかどうかで日本の未来は変わる。
(随時掲載します)

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