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臨時国会の焦点はTPPと災害対策/注目される二階幹事長の手腕と試される蓮舫民進党の力量/地方再生2016年9月21日

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【森田実 / 政治評論家・山東大学名誉教授】

「千軍は得易きも、一将は求め難し」(漢宮秋)

◆二階幹事長登場

 二階俊博氏の自民党幹事長就任は政党の空気を変えました。就任以来ほぼ2ヶ月の間の二階幹事長の言動は的確で国民を納得させています。安倍内閣支持率上昇の原因の一つは二階幹事長の存在感の拡大にあります。「安倍首相は運がいい。非常に優れた女房役を得た」(ベテラン政治記者)の声が耳に入ります。
 事故のため休養中の谷垣禎一前幹事長は、政治記者の間では「偉大なるイエスマン」といわれ安倍総理の信頼を得ていました。事故がなければ幹事長交代はなかったかもしれません。
 二階幹事長のことを「GNK」という政界OBがいます。「義理と人情と気配り」という意味です。「田中角栄の再来」という人もいます。幅広く奥深い人脈と豊富な情報量、天才的な知恵と勘と読みの深さにおいて田中角栄元首相に似ているというのです。
 2016年秋の臨時国会は、希代の仕事師といわれる二階氏にとっては初めての国会です。二階幹事長の手腕が注目されています。とりわけ、10月23日の二つの衆議院議員補欠選挙に注目が集まっています。補欠選挙の結果は臨時国会の与野党の攻防に影響を及ぼすでしょう。

◆二重国籍なんのそので突っ走る蓮舫民進党

 民進党内の中枢部には「実権派」ともいうべき権力志向の強い幹部の集団があります。この集団が推す代表候補が当選し続けています。新代表が決まると新執行部が組織されますが、重要ポストを占めるのは「実権派」の中心メンバーです。「実権派」の今のリーダーは野田佳彦前首相、岡田克也前代表、枝野幸男前幹事長、安住淳前国会対策委員長です。彼らは、執行部の重要ポストを占め、政党助成金を管理します。蓮舫体制の実力者は野田佳彦前首相です。野田前首相の指揮のもとで実権派の面々が重要ポストを独占します。
 蓮舫体制を指揮する野田前首相は「税と社会保障の一体改革」を決定した時の首相です。財政再建論者で、財務省と一体の政治家です。
 野田前首相が民進党を主導することになれば、民進党は財政再建政治を強め、財政再建よりもデフレ不況からの脱却を優先する安倍―二階体制との対決を強めることになるでしょう。
 二重国籍問題で傷ついている蓮舫代表は安倍政権との対決色を強めると私は予想しています。TPPに反対して激しい行動をとろうとすると思います。
 対決がエスカレートして衆議院解散の可能性が高まる可能性があります。その時、蓮舫代表の二重国籍問題が取り上げられます。もしかすると蓮舫代表の二重国籍問題が衆院選の議論の中心テーマになるおそれがあります。民進党内に大きな動揺が発生することは避けられません。蓮舫代表と執行部は、解散覚悟でTPP反対を貫くことができるか否か―が問われます。

◆民進党がTPPに反対する理由

 民進党代表戦の討論を通じて明らかになったことは、民進党代表候補三氏は、①TPP交渉の経過も明らかにしない政府の秘密交渉は認められない。何も知らされない以上、反対の態度を貫く、②TPPは日本の国益を害する、③米国大統領選の二人の主要候補がともにTPPに反対している。TPP参加問題は米国大統領選の結果と新政権の姿勢をみて決めればよく、急いではならない―の三点で一致していました。民進党はこの姿勢を貫いて抵抗することになります。
 しかし、オバマ米国大統領は自らのレガシー造りのためにも、任期一杯までTPP実現に努力するでしょう。安倍首相は米国議会が決定する前に国会でTPP法を制定したいと考え、臨時国会成立を強行する構えです。衆院解散まで行くか否かの激しい攻防の展開が予想されます。

◆摘発される地方政治の腐敗

 東京都における豊洲市場問題は、過去の経過が明らかになるにつれて問題が大きくなっています。もはや新市場への移転は不可能とみられています。
石原慎太郎都知事時代の無責任都政の解明が始まりました。
 過去数十年にわたる東京一極集中の流れは地方・農村を疲弊させただけでなく東京都を腐敗都市にしていしまいました。このままでは2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催も心配される状況です。富山市議会も異常です。
 今臨時国会において、東京一極集中の弊害を徹底的に議論し、国の運営の基本を見直し、方向転換を議論すべきです。
 大切にすべきは農業です。農村です。日本農家再建と営農対策のための大補正予算を編成すべきです。自民党の小泉進次郎農林部会長が進めようとしている農協改革は間違っています。正さなければならないと思います。

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