国会審議目前に、TPPの行方は?2016年10月6日
◆"そして誰もいなくなった?"それは立法府軽視への途
9月26日に臨時国会が始まり、TPP審議の本格化は10中旬の早い時期からとなりそうだ。しかし、政府側の役者は全員雲隠れ。甘利TPP担当相、鶴岡首席交渉官だけではない。ニュージ-ランドでも、ミスタ-TPPのグロ-サ-外相は駐米大使へ、途中まで首席交渉官だったシンクレア氏は駐日大使、そう言えば鶴岡氏も駐英大使へ転出だ。共に毎回のTPP閣僚会合に足を運んでいた、森山前農相も西川元自民党TPP対策委員長もいなくなった。米国でも、鶴岡氏の後任の大江博氏と渡りあったカトラ-氏は既にUSTRから転出している。
安倍首相は前のめりになって10月28日の衆院通過を目標に、会期日数30日内に参院で採決できない場合の自然成立(11月末)を狙っている。通常国会でもまともな審議がされず、誤訳・SBS問題も浮上、臨時国会で果たして実のある審議はされるのだろうか?
◆年内承認の構えは日本とニュ-ジ-ランドだけ?
豪州では7月1日の上下院同日選挙で上院与党が僅差の少数派となった。現在、10月28日を期限に国民からの意見書を受け付けており、11月、12月に公聴会を予定している。そして上院の委員会への報告、国内手続き採決は2月7日以降となることが明らかにされた。
ベトナムも党中央委員会の決定と米国の大統領選の結果を待ったうえで判断、国会での審議・承認も来年春以降とみられている。その他の多くの国も国内法の改正に時間が掛っている。
一方米国を含む各国の首脳は、米国の大統領選~1月20日の新大統領就任迄が最後のチャンスであり、TPP早期承認に失敗すれば、RCEP東アジア地域包括的経済連携協定を中心にアジア太平洋のル-ルを中国主導で決められることになると警告し始めている。
安倍首相は、「早期承認は再交渉拒否の後ろ盾だ。各国の承認の流れを作る」としているが、各国は国内政治の現実に向き合いつつ承認の時期を手探りしているのだ。そして米国が承認の条件を整えることは各国への追加的要求=TPPの変質、を強めることと同義であり、日本が早期承認を焦っても、その先は混乱・漂流の途か、あるいは水面下でのTPPの実質的な変質の途かもしれない。
◆日に日に承認への途が遠のく米国、TPPを水面下に隠す動きも
9月に入り、昨春TPA法に賛成した議員も含め、共和党、民主党双方の議員から、TPP反対の声が挙がっている。
共和党多数の米国議会のキ-マンである、マコネル上院院内総務、ハッチ上院財政委員長、ライアン下院議長、ブレディ下院歳入委員長らも可決の見込みの無い採決はしない、年内は無理と発言している。そして業界の意向を受けて、バイオ製剤新薬デ-タ保護期間延長、タバコのISDS提訴からの除外は認められない、等々の要求を掲げ、それを認めない限りTPPには反対、と繰り返している。
しかし、彼らも再交渉は困難と考え、所謂「サイドレタ-」で内実を勝ち取とろうとしていた。そしてここに来てハッチ委員長は、大統領との協議で「USTRが新薬デ-タ保護期間の要求を満足させると約束した」「各国の顔を立てつつ、実質的に理解してもらえればよい」「大統領が約束を書面にするのを待っている」と述べている。
米国は、「実をとったうえで、TTIP環大西洋貿易投資パ-トナ-シップやAPEC版FTAのFTAAPアジア太平洋自由貿易圏など今後の協定で条文化すればよい」と考えているようだ。
◆日欧EPA,譲歩の連鎖はあってはならない
17回目の首席交渉官会合が終わったばかりだが、双方が"TPP以上"を求めており、年内大筋合意を目指して"譲歩の可能性"も報道されている。そうなれば、TPP参加国からも"TPP以上"の声が挙がることは避けられない。日豪EPAで譲った畜産物関税をTPPで更に譲歩させられたことの二の舞は繰り返してはならない。
後悔先に立たず、覆水盆に返らず、だ。
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