世界の大手種苗企業は農協である。2016年11月5日
シンジェンタ社、モンサント社、バイエル社、ダウ社、DuPont社に代表されるアグリビジネス企業、特に農薬・種苗・バイオテクノロジー企業のM&A(吸収合併)がメディアや業界を騒がせている中、殆どの日本の農業者たちが見過ごしている企業がある。
世界の種苗業界シェア4位のリマグレイン社(Limagrain:フランス)、5位のランドオレークス社(Land O'Lakes:米国)。この4位と5位の企業は実は農業協同組合でありこの2つの農業協同組合は農業の川上の種苗・育種事業を全世界で展開している。
フランスのリマグレイン社は1942年創立のオーヴェルニュ農業協同組合が出資母体、日本ではみかど協和㈱を買収しているが世界の高付加価値野菜種苗会社を次々と買収し今や世界第2位、米国内ではKWS社と合弁し飼料トウモロコシで米国国内第3位。同時に加工まで手掛けフランス国内のペストリー業界第3位、フランスパン単独の国内シェアは第2位のコングロマリットでその業態の幅広さには驚かされる。
米国でモンサント社もパイオニア社も買収が出来なかったLand O'Lakes。この農業協同組合は1921年創立、組合員4331名、酪農家2259名、栽培農家1273名、準組合員799名、準組合員構成比率は18%で20%を超えることはない。
そしてこの組合員が株主である組織体が株式会社として全米50州、全世界50カ国でビジネスを展開し2015年の売上高1兆3650億円、組合員への株配当だけで110億円。
グローバル展開はしていないがドイツでは農業協同組合を維持しながら組合員が出資して株式会社を経営しその利益配当を次の投資に向けている組織が多い。当然農業協同組合から株式会社に転換した組合も。それも農業・食料/食糧ビジネスのみで。
いつもの会議で外国の仲間のロビーストからの次の質問には答えるすべをしらなかった。
「今何を日本の農業協同組合のリーダー達は動いている? フランスの農業協同組合の戦略を学ぶイタリア、米国の買収戦略を学ぶブラジル、アルゼンチン、川下独自路線のドイツ。ビジネスモデル・ロールモデルが明確な彼らと比較はできないだろうが...」には。
籠城を決め込むのか打って出るのか。評定を重ねている暇はない。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(123) -改正食料・農業・農村基本法(9)-2024年12月21日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (40) 【防除学習帖】第279回2024年12月21日
-
農薬の正しい使い方(13)【今さら聞けない営農情報】第279回2024年12月21日
-
【2024年を振り返る】揺れた国の基 食と農を憂う(2)あってはならぬ 米騒動 JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年12月20日
-
【2025年本紙新年号】石破総理インタビュー 元日に掲載 「どうする? この国の進路」2024年12月20日
-
24年産米 11月相対取引価格 60kg2万3961円 前年同月比+57%2024年12月20日
-
鳥インフルエンザ 鹿児島県で今シーズン国内15例目2024年12月20日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「稼ぐ力」の本当の意味 「もうける」は後の方2024年12月20日
-
(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
-
11月の消費者物価指数 生鮮食品の高騰続く2024年12月20日
-
鳥インフル 英サフォーク州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月20日
-
カレーパン販売個数でギネス世界記録に挑戦 協同組合ネット北海道2024年12月20日
-
【農協時論】農協の責務―組合員の声拾う事業運営をぜひ 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2024年12月20日
-
農林中金がバローホールディングスとポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結2024年12月20日
-
「全農みんなの子ども料理教室」目黒区で開催 JA全農2024年12月20日
-
国際協同組合年目前 生協コラボInstagramキャンペーン開始 パルシステム神奈川2024年12月20日
-
「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」こくみん共済 coop〈全労済〉2024年12月20日
-
もったいないから生まれた「本鶏だし」発売から7か月で販売数2万8000パック突破 エスビー食品2024年12月20日
-
800m離れた場所の温度がわかる 中継機能搭載「ワイヤレス温度計」発売 シンワ測定2024年12月20日
-
「キユーピーパスタソース総選挙」1位は「あえるパスタソース たらこ」2024年12月20日