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トランプショックに大揺れの世界と日本 日本は「平和と独立」の国家戦略を持て2016年11月26日

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【森田実 / 政治評論家・山東大学名誉教授】

 トランプは選挙戦を通じて「アメリカ第一」を訴えつづけ、当選しました。トランプは当選後選挙中の発言の一部を修正していますが、「アメリカ第一」を変えることはないでしょう。

「窮すれば則ち返事、変ずれば則ち通ず」『易経(えききょう)』

◆アメリカの国家戦略の転換

トランプショックに大揺れの世界と日本 第二次大戦後のアメリカは世界のリーダー国として世界中の重要問題に関与してきました。またアメリカ政府は自国を偉大な国だと自負し、世界のリーダーとして行動してきました。
 トランプは、従来のアメリカ政府の考えを否定し、衰退したアメリカの建て直しを主張したのです。これはアメリカの国家戦略の大転換です。
 このアメリカの国家戦略の変化に世界中が揺さぶられています。あわてる国の指導者がいる反面で、チャンス到来と考えている国の指導者もいます。
 日本の国内では、トランプ登場について、政府与党、官界財界、マスコミは困惑していますが、一部に日本がアメリカから平和的に独立できるチャンスと考える人々がいます。私もこの立場です。
 日本は、第二次大戦の敗戦によりアメリカの占領下におかれました。対日講和条約により形式的に独立はしましたが、実質的には従属国でした。戦後71年間、アメリカ政府は日本に独立を与えようとせず、つねに支配を強めてきました。日本政府も「日米同盟」の美名のもとに従属国の現状を変えようとはしませんでした。日本政府の与党の指導者たちは従属国であることになれてしまっているのです。一部には従属国であることを喜んでいる者もいます。

◆注目すべき山口壯衆議院議員(自民党)の提言

 2016年11月16日号の『山口つよしFAXだより』で山口壯氏(衆議院安全保障常任委員長)はこう記しています。引用します。
「(トランプ氏の)日本が負担増しなければ沖縄駐留のアメリカ海兵隊を引き揚げるとの言及は、日米安保体制の変容を迫るものであり、戦後日本政治の根幹であった「吉田路線」(安保はアメリカに任せて、日本は経済に専念)の変容をも迫ることになり得ます。
 その遠因はアフガン、イラク戦争のつけでアメリカは相当疲弊し内向きになっており、自らのことで精一杯になっていることです。
 日本としては自身の明確な国家戦略の再設定が必要です。ここ一番、構想力の出番です。乱世に強い山口つよし、激動の時代を迎えて正直ワクワクしています。日本の出番でもあります。
 私の構想は、日本独自の平和構築案として『アジア太平洋協定』の実現です。(中略)
 トランプさんに決まって、不安に感じておられる方も多いようですが、ピンチはチャンス! 一緒に頑張りましょう!」
 山口つよし氏は、アジア太平洋地域に日本の軸足を移すべし、と主張しています。このような見方は、今後広がると私は思います。

◆日本の平和的独立のチャンスを掴め!

 日本政府はTPPにしがみつき、トランプ氏を説得しようと考えていますが、これはナンセンスです。トランプ氏が選挙戦を通じて最も強く主張したのはTPPからの即時脱退でした。TPP脱退はトランプ氏の最大の公約です。日本がこれを変えようとすることは非常識です。日本はTPPを白紙にもどし、日本のためになる通商政策を新たに考えるべきです。
 それ以上に正すべきは、小泉進次郎自民党農林部会長が推進している「農協改革」です。これは「改革」ではなく破壊です。「農協」という日本農業の守り神を破壊しようとするきわめて危険なものです。小泉進次郎氏の父親の小泉純一郎氏は首相時代に、ブッシュ大統領の手先になって無謀な郵政民営化を強行し、日本の郵便事業を破壊しました。息子の進次郎氏はオバマ政権の日本農業支配の野望の手先になっています。これは政治的犯罪です。阻止しなければなりません。
 いま日本国民にとって最も重要な課題は、混迷する世界のなかで平和を守り抜き、同時に日本のアメリカからの自立を実現することです。
 今のままの従米政治をつづけていては日本国民は永遠にアメリカの従属国として生きることになってしまいます。百年後も五百年後も日本国民はアメリカの従属下におかれることになってしまいます。
 トランプ氏が日本を突き離そうとするならこれに柔軟に対応し、日本の独立の一歩にすべきです。日本政府の中には、トランプ的大統領にすがりつこうとする動きがありますが、このような恥ずべき行為はやめるべきです。トランプショックを、日本独立へのきっかけにすべきだと思います。

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