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トランプ就任から見えるTPPの行く末2017年1月26日

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【近藤康男「TPPに反対する人々の運動」世話人】

 1月20日トランプ氏が米国第45代大統領に就任した。就任演説も同日公表の6項目の重要政策も、共に力強くて明確な内容で、なすべきは「米国第一主義」、“従うル-ルは2つ”「米国製品を買い、米国人を雇う」、そして再び「米国を偉大な国に」する。しかし攻撃的で、過去の政治を否定的に捉え、外国を米国への加害者として非難、それでいて現実との矛盾に満ちており、人々の公平性を言いつつも多様性や弱者に対する気配りは微塵も見られなかった。排外主義と不寛容さは隠しようもない。彼の当選以来、米国・欧州ではヘイトクライムと少数者の恐怖感が広がっている。

受諾演説全文⇒https://www.whitehouse.gov/inaugural-address

◆NAFTA見直し、それはTPPをも揺さぶる
 
 通商政策⇒https://www.whitehouse.gov/trade-deals-working-all-americans
 重要政策は6項目:「米国第一のエネルギ-計画」「米国第一の外交政策」「雇用を取り戻し成長する」「軍隊を再び強固なものに」「法を執行しコミュニティの安全のために立ち上がる」、「合衆国の国民のための通商(ディ-ル)」だ。
 6番目の通商政策では、これまで長い間、自由貿易が米国の雇用と製造業を傷つけ、工場は街から海外に移転した、とまず訴え、豊富な交渉経験を積んだ大統領はこれを充分理解し、タフで公正な通商により、成長と雇用とを取り戻し地域を復活させる、としている。
 この戦略はTPPからの離脱で始まり、今後の新たな通商合意は米国の労働者の利益に適うものでなければならないことを明確にする。NAFTAについては再交渉を約束、相手国が拒否した場合は、離脱の意思を相手国に通告する。
 更に大統領は、貿易協定に違反する国には断固たる措置をとるとし、商務長官は全ての違反を特定し、全ての手段を動員して止めさせる。大統領は最もタフで優秀な通商交渉チ-ムを任命する、としている。
 まずはNAFTA、メキシコとは電話会談、外相訪米に続きメキシコ大統領が31日に訪米する。メキシコは通商だけでなく移民、安全保障、その他を包括的に交渉し、取引材料を並べようとしている。そしてTPPについては各国と2国間交渉をする方針だ。
 メキシコはNAFTA以外に中南米・欧州の国々を網羅するFTA網を作っており、成長のアジアでは日本とのEPAを締結済み。TPP各国との2国間交渉は次善の策になり得よう。
 カナダは、23日―24日閣僚が通商政策について協議、24日にはトランプ氏の娘婿で大統領上級顧問のクシュナ-氏が合流して協議に加わった。両国とも暫らくはTPPどころではないはずだ。
 
◆さてTPPの行く末は?
 
 23日トランプ氏は大統領覚書に署名、永久に離脱することを明らかにし、USTRに対してTPP寄託国のNZと10ヶ国に書面で離脱を通告する指示をした。加えて可能な相手から2国間交渉を始めるよう指示している。大統領覚書には無いが、30日たっても思うように交渉が進まなければ、撤退を通告するとまでしている。
https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2017/01/23/presidential-memorandum-regarding-withdrawal-united-states-trans-pacific←大統領覚書
 TPP協定の30章・最終規定の6条「脱退」では通告を行った6ヶ月後に有効となるが、署名済みの段階での脱退は規定がない。上述の規定が適用されるのだろうか?
 既に署名をした各国は次々放たれる"トランプ砲"に頭を悩ませている。農畜産物で競争相手が1ヶ国いなくなる、しかし魅力的な米国市場も消える、対中国の地政学的影響は? RCEPの新たな市場で地歩を固めるか、ASEANの結束強化で市場・安保を確保するか、各国は考えられる選択肢の得失を推し量ろうとしている。
 経済"先進国"は米国の翻意を未だ諦めず、他の国も多くは国内手続きを進めるだろう。その上で米国抜きのTPPなど、代替案を模索し始めている。チリ政府は3月にも当地で11ヶ国の閣僚会合を検討していると発表した。
 ちなみに、米国抜きの11ヶ国でも発効条件の"6ヶ国、GDP85%以上"条項が有効なら、次のような試算(IMFでなく直近世銀デ-タ)が可能だ。
 日・加・豪・メキシコ:86.6%
 日・加・豪・マレ-シア・シンガポ-ル・チリ・ペル-:85.1%
 日・加・豪・マレ-シア・シンガポ-ル・チリ・NZ:85.1%
 しかし米国抜きのTPPは仮に条文が同じでも質的に違ってくる。国内手続きのやり直しが本来的には必要だろう。
 
◆悩ましいのは日本だ
 
 成長のアジアは地政学的には不安定だ。日米同盟に加えて、TPPは日米が互いに双方の参加を必要とするソフトパワ-だった。東アジア包括的経済連携RCEPやアジア太平洋自由貿易圏FTAAPを主導する場合も同様だ。
 そのため、安倍政権は他国以上に米国の翻意を願っている。トランプ氏により極右政党が勢いづく、選挙の年を迎えるEUとのEPA大枠合意を目指す中でのTPPの決壊だ。おまけに安倍政権はこれまでのEPAでの譲歩の連鎖・拡大により、切れるカ-ドの手持ちもほとんど無い。
 安倍首相の発言が、決意表明の勇ましさの割に歯切れが悪いのも当然かもしれない。

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